皆さんこんにちは。前回は生活費の保障を受ける年金制度のなかで、障がい福祉の分野か
ら「障害基礎年金」「障害厚生年金」についてご紹介をいたしました。さて、今回からはがんの
療養生活を支える社会保障の仕組みとして「介護保険制度」について取り上げてみたいと思
います。

皆さんのなかで「介護保険制度」と聞くと高齢者のための支援で、がん患者を支える支援とは
無縁だと感じる人もいるかもしれません。しかし、介護保険制度のなかでは、しっかりとがん
患者を支援の対象にできるようになっているのです。ここからは介護保険制度について、制
度の概要やサービスの内容について数回に分けてご紹介していきたいと思います。

まず、「介護保険制度はなぜ生まれたか」という制度の成り立ちから触れていきたいと思いま
す。介護保険制度の前身は、「老人福祉」と「老人医療」の政策から成り立っています。1960
年代にはすでに日本の人口構造的に若い世代が高齢世代を支えるということが家族の問題
ではなく社会問題として捉えていく視点になりました。その結果、老人福祉の分野では介護施
設やデイサービス等が公的な立場でつくられ、高齢者介護制度を利用する場合は市区町村
がサービスの種類や提供機関を決める「措置制度」の時代が続きました。今では考えにくい
ですが、利用者がサービスの選択をすることができない時代だったということです。さらにこの
措置制度では、市区町村が直接的、もしくは委託により提供するサービスが基本であるため
、競争原理が働かずに、サービス内容が画一的となりがちで、費用的にも収入に応じた利用
者負担(応能負担)となるため、中高所得層にとって重い負担になりました。

一方、老人医療の分野では、1970年代に「老人医療費の無料化」という政策が導入されまし
た。高齢人口が健康でい続けられるための医療政策でもありましたが、この政策の結果、整
備不足の福祉サービスよりも中高所得者層にとって利用者負担が低い医療サービスに高齢
者(患者)が流れた結果、介護を理由とする一般病院への長期入院(社会的入院)の問題が
発生し、結果的に国の財政を圧迫してしまう状況になりました。今までの老人福祉・老人医療
制度に限界があったために新たに創設されたのが「介護保険制度」になります。

2000年に施行された介護保険法のなかでは、介護保険制度の基本的な考え方として「自立
支援」「利用者本位」「社会保険方式」を大きな柱としています。そして「措置制度」から「契約
制度」への転換が大きなポイントでした。一方的な介護サービスを行政主導で画一的に与え
ていた考え方から、利用する人の自立を促す考え方を理念として、利用する人が自身で選択
してサービスを受ける「契約」を基本とし、財源としては給付と負担の関係が明確な社会保険
方式を採用することで、社会全体で人々を支える新たな社会保障制度の仕組みの始まりでし
た。この制度は3年に1回見直しがなされ、社会構造の変化とニーズの多様化、利用人口の
増加と財政状況の変化により改正が繰り返されています。

平成30年度は、医療保険制度、介護保険制度、障がい者福祉制度の全てが改定される非常
に大きな改定年度です。この改正では、「地域包括ケアシステム」を急速に進めていきたい国
の方針があります。これは病気になっても、障がいがあっても、高齢になっても、住み慣れた
地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい
・生活支援が包括的に確保される体制(地域包括ケアシステム)の構築を実現することを目
的にしています。がんを患ったとしても、人生の最後まで自分らしく生きるための福祉的な支
援の1つとして、介護保険制度の仕組みやサービス内容についてこれからより具体的にご説
明をさせていただきます。

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社会福祉士
佐々木

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