前回からの続き
ピアサポーターは、決して何かの専門家というわけではありません。しかし、専門
家ではなく「いち経験者」であるからこそ体験を共有し、そのうえで一緒になって
悩み、一緒になって考えることができるのです。そして専門家ではないからこそ、
雑談のようなとりとめのない話を聞いてもらうことも可能です。

具体的な質問や相談があれば、相談員や医療従事者、福祉関係者などの専門家に尋
ねることができますが、忙しそうな彼らに「単に自分の話を聞いてほしい」という
依頼はなかなかしにくいものです。あなたが誰かに何かを、「ただ」話したいと感
じたときにも、きっとピアなら喜んで手助けをしてくれるでしょう。これは専門家
ではない、ピアだからこそできる援助の一つです。

公益財団法人日本対がん協会の「がんピアサポーター研修テキスト」ではピアサポ
ートを「体験を共有し、ともに考えること」と定義しています。

同じ立場で体験を分かち合い、ともに悩み、ともに考えてくれる人がいるという、
まさに「ピア=仲間」を得たという心強さをあなたは感じることができるのです。
また、もしあなた自身が他のがん患者のピアになることを想像できるならば、自ら
の経験を役立てる、という積極的な意味を感じながら「闘病の経験を積む」ことさ
えできるでしょう。提供する側もまた、自身の経験にポジティブな意味づけを付加
することによって、いやしを得ることができるのです。こうした仲間同士のいやし
合いこそが、まさにピアサポートの神髄であるといえるのです。

あなたが拒みさえしなければ、こうしたすばらしい仲間の助けを得ることができま
す。また、彼らと一緒にならば、患者会やがんサロンに出てみる勇気がわくかもし
れません。そこにはあなたにとって、さらなるいやしとなる世界が広がっているこ
とでしょう。

つづく

医師 総合診療医/心療内科医/漢方医/産業医
飯島 慶郎(いいじま よしろう)

臨床心理士/産業カウンセラー/認定産業医
総合内科専門医/家庭医療専門医/東洋医学会認定医

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