第1回のコラムでは、患者自身が医療を学ぶ必要があるのかということについて考えていきます。

突然ですが、みなさんの小学生の頃の得意科目はなんだったでしょうか。

計算が好きで算数が好きだったという人もいれば、実験が好きだったから理科が好きだったという人、国語や社会が好きだった人もいるでしょう。
これらの勉強は、基本的な知識としてひとりひとりに学ぶ機会があります。

ところで、みなさんは自分の身体に起こる病気について、小学生のときに習ったことはありますか?

風邪をひいたときには、栄養をつけてあったかくして寝た方がよいということは親から教わったかもしれません。

ですが、「一般的に”風邪”と呼ばれている症状を起こす原因には、細菌とウイルスという異なる種類のばい菌がいて、病気になる部位も扁桃腺・気管支・肺などその時々によって異なり、治療法も異なること」を習ったことがある人はいるでしょうか?
自分自身でそれを判断できるでしょうか?

一般的な”風邪”であれば、放っておいても自然によくなることがほとんどなので、その違いについて知る必要はないかもしれません。

でも、それが命を落とす”がん”だったらどうでしょうか?

“がん”と一口にいっても、種類によって命を落とす確率も治療法も異なります。さらに個人個人によって見つかった時の状況が異なるため、どの治療が一番助かる可能性があるのかを判断するのは医師任せになっているのが現状です。

もちろん、私たち医師は最善の方法を検討し、患者さんに提示して丁寧に説明していきます。

けれど、手術や化学療法や放射線療法を選んだあとに、どのような効果・どのような副作用があるのかについて限られた時間では十分に説明しきれないことが多々あります。
また患者さんによって価値観はさまざまであるため、ある患者さんでは我慢できた副作用が他の患者さんにはとてもつらいということも起きるのです。

日本では英語が小学校で必修化し、今後はパソコンを使ったプログラミングも必修化されると聞きます。

自分の能力を伸ばす”ソフトウェア”を学ぶ機会は増えていますが、自分自身の”ハードウェア”を学ぶ機会はまだまだ少ないと言えます。

医療の進歩が加速する今、患者さんひとりひとりに対して、医療に対する正しい知識を学ぶ姿勢が問われていると言えるでしょう。

内科医
村本

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  1. 白川大和 より:

    自分たちが、自分の身体に関する医療を学ぶ機会が少ないという事を実感した。

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