がんといえば、皆さんはどのようなイメージを抱くでしょうか。がんと診断されたご本人やそのご家族はたとえようのない不安、つらさ、絶望感に襲われることは決して少なくありません。そんな中、休む間もなく患者さん、ご家族は病状説明、治療方針の決定…と大きなストレスを抱え続けます。この記事ではがん治療、緩和医療に日々携わる筆者の視点から、がんそのものの知識、抗がん剤治療や緩和医療への誤解と現実、がんと向き合うことによって起こる諸問題についてお話していきます。

がんは今や国民病とも言われており、現在では年間36万人以上の人ががんで亡くなっています。(H.26 厚生労働省公表)これは亡くなる人のうち3人に1人ががんによるものだということです。では、がんになってしまった場合、助かることは不可能なのでしょうか。

がんはその進行度や転移によりステージによって段階分けされていて、それにより治療方針等も変わっていきます。次の数字は罹患者、死亡者ともに多い大腸がんの5年生存率です。(※5年生存率とは「がんの治療開始から5年後生存している人の割合」のことをいいます。がんの治療ではがんが消失して5年間再発がなければ、がんが治った(治癒した)とみなすとされています。)
 
 Stage0:94.0%
 StageⅠ:91.6%
 StageⅡ:84.8%
 StageⅢA:77.7%
 StageⅢB:60.0%
 StageⅣ:18.8%
 全Stage:72.1%
 (大腸癌研究会 2000〜2004年症例)

この数字を見てどう感じられるかはそれぞれ異なると思われますが、「がんは早期発見が大切」と言われている理由はここにあります。StageⅣはこの場合、「他臓器へ転移している状態」と定義されていますが、「他臓器への遠隔転移」さえなければ治癒を狙った戦略が取れるため、生存率は圧倒的に高いものとなります。つまり、早いうちならがんは治すこともできるのです。

がんと闘う上でまず必要となるのは正しい知識と理解です。上記のデータを知っているかどうかだけでも、がん検診による早期発見の重要性を理解していただく上で大きな差が生まれ、がんと診断された後にどのような治療戦略を取るか、何を目的とした治療を行うべきなのかを冷静に考えることができるでしょう。

今は「先生の言うとおりに、逆らってはいけない」などという時代ではありません。患者さんひとりひとりが正しい認識をもち、医療従事者、家族とともに本当に納得のいく治療と療養を受けることが最良である私は考えます。その一助をこの連載で担うことができれば幸いです。

薬剤師
深井

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