中国地方の覇者として知られる毛利元就。子ども時代に両親を失い、不遇な環境で育ったた
め、人間不信になり、有名な「三本の矢」の話のように家族の和を誰よりも望み、毛利一族の
団結は非常に高かったといわれています。元々健康維持に力を入れ、名医の曲直瀬道三か
ら医術も学ぶほど健康維持に人一倍熱心だったようです。

彼は健康法の一つとして雪合戦が好きで、寒い時期に運動することで抵抗力が養われ、雪を
丸めて投げるというからだの動きが、脳の活性化にもつながり、筋力も鍛えられ75歳まで生き
ました。しかし、食事が胸につかえて嘔吐、狭窄(きょうさく)症状と喀血(かっけつ)の記録が
残されていることから「食道がん」の疑いも考えられます。
   
今回は食道がんの検査について学んでいきましょう。
 
■食道造影検査(X線検査)
食道造影検査(X線検査)とは、バリウムを飲んでそれが食道を通過するところをX線で撮影す
る検査です。内視鏡検査が普及した今日でも、造影検査は苦痛を伴わず検診として有用です
。造影検査では、がんの場所やその大きさ、食道内腔の狭さなど全体像がみられます。

■内視鏡検査
先端に小さなカメラ(CCD:固体撮影素子)を搭載した内視鏡(ビデオスコープ)を用いて直接、
消化管粘膜を観察する方法です。内視鏡検査は、病変を直接観察できることが大きな特徴で
す。病変の位置や大きさだけでなく、病変の数、病巣の広がりや表面の形状(隆起(りゅうき)
や凹凸)、色調などから、病巣の数や、ある程度のがんの浸潤の深さを判断することができま
す。
食道の内視鏡精密検査では、通常の観察に加えて色素内視鏡検査を行います。正常な粘膜
上皮細胞がヨウ素液に染まるのに対し、がんなどの異常のある部分は染まらない、でんぷん
反応を利用した方法です。
内視鏡検査の大きな利点は、直接組織を採取し(生検)、顕微鏡でがん細胞の有無を確認す
ることができ、病変の診断に役立つことです。無症状あるいは初期の食道がんを見つけるた
めに内視鏡検査は極めて有用な検査であり、たとえレントゲン検査で異常が認められなくても
内視鏡検査で発見されることもあります。

■病理検査
内視鏡検査で、採取した組織にがん細胞があるのか、あるとすればどのような種類のがん細
胞かなどについて顕微鏡を使って調べる検査です。
■CT(コンピューター断層撮影)・MRI検査
CTはX線を使って体の内部を輪切りにしたようにみることができる検査です。体の内部を描き
出し、治療前に転移や周辺の臓器へのがんの広がりを調べます。食道造影検査で認めた病
変の広がりの長径もみます。

食道の周囲には、気管・気管支、大動脈、心臓など、極めて重要な臓器が存在しています。
CT検査は、がんとこれらの周囲臓器との関係を調べるために、最も優れた診断法といえます
。リンパ節転移の存在も、頸部、胸部、腹部の3領域にわたって調べることができます。
さらに肺、肝臓などへの転移の診断にも欠かせません。進行したがんにおいては、進行度を
判定するために最も重要な検査です。MRI検査は磁気を使用します。さまざまな角度の断面
をみることができるのが特徴です。

■超音波(エコー)検査
腹部と首(頸部)について行います。腹部では、肝臓への転移や腹部リンパ節転移の有無な
どを調べ、頸部では頸部リンパ節転移を調べます。頸部食道がんの場合は主病巣と気管、
甲状腺、頸動脈などの周囲臓器との関係を調べるために行います。

■PET検査
PET(陽電子放射断層撮影検査)は、全身の悪性腫瘍細胞を検出する検査です。悪性腫瘍細
胞は正常細胞よりも活発に増殖するため、そのエネルギーとしてブドウ糖を多く取り込みます
。PET検査では、放射性ブドウ糖を注射しその取り込みの分布を撮影することで悪性腫瘍細
胞を検出します。ほかの検査で転移・再発の診断ができない場合に行うことがあります。

■腫瘍マーカー
「腫瘍マーカー」とは、がんの存在により異常値を示す血液検査の項目のことで、がんの種類
に応じて多くの種類があります。食道がんの腫瘍マーカーは扁平上皮がんではSCC(扁平上
皮がん関連抗原)とCEA(がん胎児性抗原)です。腺がんではCEAです。ほかのがんにおける
場合と同様に、腫瘍マーカーは進行した悪性腫瘍の動態を把握するのに使われているのが
現状であり、早期診断に使えるという意味で確立されたものは残念ながらまだありません。ま
た、がんがあっても異常値を示さないこともあります。

これらの検査をおこない、がんの病変部のステージを診断していきます。毛利元就もこの検
査をおこなっていたら、治療してもっと長寿になっていたかもしれませんね。

臨床検査技師/緊急検査士
石﨑 沙織

相談する

コメントを残す

PAGE TOP