がん治療の評価は5年生生存率が主流です。これは、一般的にがんは治療から5年以
上経ってから再発する割合が少なく、治療から5年生存すれば完全にがんは治ってい
ると考えられていたからです。

がんに対して根治的な治療をしたあと、5年間は病院に数カ月~半年ごとに通院し、
5年がたったところで「がんは治りました」といって通院が終了するのもこのためです。

しかし、近年その法則に当てはまらないがんの種類があることが明らかになってきました。
2016年に国立がん研究センターなどから、3万人以上を対象とした大規模ながん種類
別の10年生存率が発表されました。もちろんこの中には悪性度の高いがんから低い
がん、進行度が早期から末期まで含まれています。

その結果、全てのがんの10年生存率は58%という結果が発表されました。これはつま
り、3人に2人はがんにかかるが、そのうち3人に2人近くの人が10年間生きられるとい
うことです。

もちろんがんが早めに見つかるようになった背景もありますが、「がんになったら
人生の終わり」といった時代は終わりつつあることを示しています。新しい薬剤や
治療によって、今から10年後はさらに生存率が上がっている可能性もあります。

生存率が高いがんとしては、前立腺がん・乳がん・婦人科のがんなどがあります。
一方、生存率が平均より大きく下回ったのは食道がん・肝臓がん、そして不動の膵
臓がんです。

胃がんや大腸がんは、5年を超えると生存率は横ばいで、5年間再発しなければがん
は完全に治ったということがいえそうです。では一方、5年を越えても死亡率が上が
ってしまうがんには何があるでしょうか?

1つは肝臓がんで、これは一度がんを根治しても、肝臓自体ががんが起きやすい状
態であるため、次々と新しいがんが発生してしまうからと考えられています。背景
として、アルコール性・非アルコール性脂肪肝や肝炎ウイルスによる肝硬変があり
ますが、肝炎ウイルスに対する薬が開発されたため、それ以外の原因が増えると言
われています。

もう1つは、乳がんです。これは初めに見つかった時に、すでに全身の血流に乳が
んの細胞が散らばってしまっているという性質が原因だと考えられています。
自分がかかったがんが、何を持って治ったと言えるのかを知ることは大切です。
一方、完全に治ったと言えないがんもあるため、再発のリスクのあるがんを抱えな
がらどう向き合っていくかが大切です。

内科医
村本

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