母は、乳がんになってから、いたるところでカミングアウトしました。
ただ、自分の実家は除いて。

母方の祖父は既に他界していて、もう90歳近くなる祖母がひとり暮らしをしていました。数歳年下の妹(大叔母)が近くに住んでいて、また、母の姉も実家の近くに嫁いでいたので、祖母と大叔母の面倒は主に叔母がみていました。

母は、夫に先立たれた年老いた自分の母親には、乳がんになった事を知らせないと決意しました。余計な心配はかけたくないと。
同時に、祖母の耳に話が入らないように、という事で大叔母にも叔母にも言わないと決めたそうです。ただ、いずれ毛が抜けてばれる時がくるから、その時には伝える、とも。

そのごく一部の親戚を除いて、父の実家をはじめ、所属している趣味のサークルや通っているジムなど、ことごとくカミングアウトしていったのです。

理由は「有益な情報を得るため。それから、早いうちに知っておいてもらった方がお互い気がラクだから」というものでした。
それから、「隠してたって仕方ないじゃない。何も不治の病になったわけでもないし、隔離されるような伝染病でもないんだし」とも言っていました。つくづく、たくましい母です。

しかし母の考えはもっともで、カミングアウトしても前向きで明るい様子の母は人に変な心配をかける事なく、自分の現状を理解してもらい、「私の身内で乳がんになった人がいるよ」「知り合いで乳がん完治した人がいるよ」など、有益な情報を次々と手に入れていったのです。

他にも、いつどこで「がんセミナー」があるとか、こんな食材や生活習慣が良いらしいとか、このテレビ番組はおすすめ、とか、いついつ乳がんの特集をやるらしいとか、知人や親戚のツテのみならず、様々な情報が母のもとへ集まってきました。

皆さんが闘病する母にエールを送ってくれて、電話をよこしたり、手紙を書いてくれたり、美味しいものでも食べて精をつけてと特産品のようなものを送ってきたり、一時我が家が「お母さん応援キャンペーン」状態になりました。

これだけ沢山の人が母の事を想って、案じて、応援してくれているんだ、そう思うと母の顔の広さと人格に改めて驚かされました。

がんの患者会
母と家族のガンとの闘病記

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