織田信長から「尋常でない目の輝きを持つこの男はただ者ではない」と評価され、千利休
からは「戦国武将のなかでも文武兼備の名将」と称賛するほど多くの合戦でも武功をあげ
ていた蒲生氏郷。和歌や茶の湯、料理やお風呂、お酒も好きだったという記録も残ってい
ます。40歳で亡くなっていますが、大量の下血、顔色は黄色く、痩せ衰えているが腹部膨
満があり、目の下には浮腫(むくみ)が生じている症状から肝硬変による肝臓がんを起こ
した疑いがあるようです。今回は「肝臓がん」についての検査を学んでいきましょう。

1.肝臓がんは早期発見できるのか
肝臓がんは早い時期ではほとんど症状がないので、症状をきっかけにして肝臓がんを見つ
けることは難しいといわれています。肝臓にできるがんの中で最も多いのは肝細胞がんで
、「肝臓がん」と言えばほとんど肝細胞がんを指します。また、肝細胞がんはウイルス感
染を原因とする肝硬変を背景として発生することが多く、肝炎ウイルス(B型とC型)を原
因とする人が7~8割といわれています。このために肝炎ウイルスに感染している人で肝硬
変の状態の人に対しては定期的な腫瘍マーカーの測定や超音波検査がすすめられています。

2,肝臓がんの検査
■血液検査
肝臓の機能などを評価するもの
 AST(GOT)
 ALT(GPT)
 ALP 
 γ-GTP
 コリンエステラーゼ
 アンモニア
 血小板
 ビリルビン
 アルブミン
 プロトロンビン

■肝臓がんの主な腫瘍マーカー
 AFP
 AFPレクチン分画(AFP-L3分画)
 PIVKA-II

治療に際して肝臓の機能を推定するにはビリルビン、アルブミン、プロトロンビンの3つが
参照されます。肝臓がんの腫瘍マーカーは3つの項目を使うことができます。AFP、AFP-L3
、PIVKA-IIの3つです。詳しくは次回じっくり解説していきます。

■超音波検査
超音波検査(エコー検査)は肝臓がんの診断、治療、治療効果の確認など多くの場面に登

場します。超音波検査は放射線を使う検査ではないので放射線の影響の心配はありません
。超音波を体に当てると、超音波の跳ね返りから体の中の様子を画像で観察でき、肝臓の
形や肝臓がんの有無、血管の走り方などがわかります。
肝臓の中にがんと疑わしいものが見つかった場合、超音波検査の画像の特徴から、がんか
それ以外のものかをある程度見分けられます。ただし、画像検査だけでは確実ではないの
でほかの検査と合わせて判断します。

■CT検査
肝臓がんの治療法を考えるときには、肝臓の外にがんが転移していると治療方針が変わっ
てきます。CT検査は転移があるかどうかの判断をするのに適した検査です。CT検査はス
テージを決めるのに重要な検査の一つです。

■MRI検査
磁気を利用する画像検査で、放射線を使うことはありません。CT検査でわかりづらい肝臓
がんの診断にはMRI検査が有効なことがあります。肝臓がんの多くは血流が多いがんです
。肝臓がんの中には血流の乏しいタイプのものも存在します。血流の乏しいタイプの肝臓
がんにはMRI検査が診断の役に立つことがあります。

■ICG検査
ICGは肝臓をどれほど切除できるかを推測する検査に使う薬品です。ICGが注射で体の中
に入ると肝臓で代謝されます。正常な肝臓の場合は15分程度でICGは10%以下になります
。肝臓の機能が低下している場合はICGを代謝するために時間がかかります。ICGが代謝
される時間で肝臓の機能を推測することができます。

あの時代にこのような検査が受けられたら、蒲生氏郷ももっと長生きできて歴史がガラッ
と変わっていたかもしれませんね。次回はさらに肝臓がんの血液検査の内容について解説します。

臨床検査技師/緊急検査士
石﨑 沙織
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