前回からのつづき

こうした(先進諸外国にくらべて「がんの周辺領域」への対処が遅れているという
)状況を打開すべく、厚生労働省は歴史的にさまざまな対応策を講じていきました。

その一つとして、平成19年のがん対策推進基本計画に、「がん診療にかかわる全
ての医師が、標準化された緩和医療(≒がんの周辺医療)の研修を受けるべきである
」と明記されたことがあげられます。研修会を受けた医師の名前は公表されますの
で、実質的な義務化です。これを受けて全国各地で、現役の医師を対象とした延べ
2日間の研修が開かれ、多くの医師が緩和医療や疼痛管理の基本について学びまし
た。私も当然この研修会に出席しましたが、充実した意義深い内容であったのを記
憶しています。

こうした、「医師に強制的に再勉強させる」ほどの気迫をもった、国策としてのが
ん支援強化策が功を奏し、がんの「治療」以外の周辺領域へのサポートが一気に充
実してきたというのが最近の状況なのです。しかしながら、ここ20年で起こってき
たこれらの変化は、必要とされて起こった、すなわち必然の変化であったと筆者は
感じています。なぜなら、おなじ「がん」という病気であっても20年前と現在とで
は、疾患自体の持つ「意味」が変わってきているからです。

現在、がんは「慢性疾患」とまで呼ばれるようになっていますが、過去には決して
そのような状況ではありませんでした。以下、がんが今日において、慢性疾患と呼
ばれるまでに至った経緯について概観していくこととします。
つづく

医師 総合診療医/心療内科医/漢方医/産業医
飯島 慶郎(いいじま よしろう)

臨床心理士/産業カウンセラー/認定産業医
総合内科専門医/家庭医療専門医/東洋医学会認定医

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