初めての抗がん剤投薬を終えて、「3時間待たされて3時間も点滴した」とご機嫌を損ねて帰ってきた母ですが、翌日もいつもと何ら変わりなく、ぴんぴんしていました。

とはいえ、こういった副作用はどのタイミングでどのように出てくるか分かりませんから、私たち一家はそれなりにピリピリとした空気の中、常に母の体調を気遣って声をかけたりしていました。

朝起きて階下に下りていけば「おはよう。体調どう?」と聞き、仕事から帰れば「ただいま。どう?元気?」と聞き、ふと思い出せば「何か変化とかある?」と確認する日々でした。

母は、数日経っても、1週間経っても、特に変わりなく元気に過ごしていました。
なんだか肩透かしにあったような気がして、同時に安堵もしました。

もちろんこれが初回だったからなのです。
2回目、3回目と回を重ねていくごとに抗がん剤は着実に体内に蓄積されて、がん細胞以外の細胞も破壊します。それは頭では分かっていました。

しかし、あまりにも元気な母を見て、私は少なくともこの段階では間違いなくほっとしていました。
言われているほどしんどそうじゃないな、と思いましたし、抗がん剤投薬をおこなう前までの生活と何ら変わりない日常を過ごす母は、まるで乳がんを患っているとも思わせないほど元気でした。

母が「思ったよりもしんどくなくて良かった」とウキウキしている様子ではなかった事も、ひとつ安心の材料となっていたように思います。
もちろん「今のところ大丈夫」とは言っていましたが、「でもきっとこれからしんどくなるからね。今のうちに体力をつけとかないと」とモリモリ食事し、よく眠り、とても健康的な生活を心がけていたため、これから回数を重ねていって、いつか抗がん剤の副作用に苦しめられる日がやって来ても、この人ならきっと乗り越えられる、と思いました。

前向きに、しかし冷静に、感情的にならずに現状を受け止めて対処している母は、さすがというかなんというか、危なっかしさのかけらもなく、私たちを安心させました。

ただ、話には聞いていましたが、この後、いよいよ母は抗がん剤の副作用と対峙することになるのです。聞きかじった情報だけでは実際にどんなかんじなのか全く想像にも及びませんでしたが、しんどい時期が間もなく幕を開けることになるのです。

がんの患者会
母と家族のガンとの闘病記

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