2回目の抗がん剤治療をおこなってから丁度1週間ほど経ったころ、母の手に異変がおこりました。

手が痺れて思うように動かせないというのです。
特に右手の方が酷く、箸やペンを使うのに苦労している様子でした。

痙攣するようなかんじではなかったのですが、例えるならば、かなり高齢の方が手を上手く使えなくなるような、そんな雰囲気でした。
痛みは無かったようなのですが、無理やり筋肉を動かそうとしていると変な力が入って筋肉痛になるという悪循環が生まれ、加えて思い通り動かない自分の手にやきもきしていたようです。

その数日後、両手の親指の爪が黒ずんできました。
くすんだ黒っぽい色に変色し、爪が石灰のようにいびつな形に変形し、そしてひび割れてていきました。
続いて右手の方の他の指の爪も、同じように黒ずみ、ひび割れていきました。

痛んだりはしないようでしたが、抗がん剤による威力で、末端の細胞が破壊されてこのように手先や足先の組織がやられてしまうことがあるそうです。
一応そのような説明は病院でもされたようですし、がん関連の書籍にも載っているのですが、そうはいっても、いざ自分の身にこの現象が起こると、と思うと、なんだかとてもいたたまれないような気持ちになりました。

そして末端への影響は爪だけでは止まらず、指の皮膚にまで及びました。
壊死、という言葉を思い浮かべてしまいそうな色に変色し、とても見ていられなかったのを思い出します。

後から母に聞いた話ですが、手よりも足の方がひどかったようで、しかも足は痛みも伴っていて、歩くときに力をかけると鈍く痛んだそうです。

この末端にあらわれた副作用は、1週間ほどかけてゆっくりと進行し、そしてしばらくその状態のままでしたが、数週間後には回復傾向に転じました。
抗がん剤治療を続けていた最中だったにもかかわらず、こうして副作用が出ては回復し、というコロコロと変わっていく症状を見て、つくづく人間の治癒力とは本当に不思議なもので、力強いな、と思っていました。

爪の方に出た黒ずみやひび割れは、その爪が完全に伸びきってしまうまでずっと残っていましたが、それでも指の方はやがて、多少皮膚が変色してしまったものは残りましたが、良い状態へと回復したのでした。

がんの患者会
母と家族のガンとの闘病記

この執筆者の記事一覧

医療者コラム

相談する

コメントを残す

PAGE TOP