抗がん剤の治療をおこなっている間、当然母は経過観察で毎回検査を受けるのですが、右腕のリンパにも転移している疑いがあると言われてしまいました。

転移が認められると途端に生存率が下がると言われている「がん」
私たち家族はその知らせを聞いて、ショックを受けました。

しかもリンパに転移するがんは相当厄介だとも聞きます。
リンパは体内を循環するものなので、リンパや血液に転移すると全身にがんが侵食してしまうと聞いた事がありました。

そうは言っても、もともと進行性の強い活発ながん細胞という風に診断され、その勢いを封じ込め、身体全体にがんの影響が出ないよう、まず抗がん剤で局部的にではなく全身にアプローチして治療しようという方向性で固めたという主治医の判断は間違えていなかったんだ、という僅かな安堵感も覚えました。

母はどこまでもポジティブだなぁと思いましたが、この時にも、真っ先に「先に手術じゃなくて、抗がん剤の治療を始めておいてよかった」と言いだしたのが母でした。
リンパに転移しているかもしれないという事が発覚し、愕然として何も言えなくなってしまった私たち家族を前に、最初に明るくポジティブな気持ちを発言してくれた母。

きっと無理をしていたのだと思います。
がんに侵されたというだけでショックが大きかったろうし、抗がん剤治療も徐々に副作用が出始めて辛いだろうに、そんな最中リンパにまで転移しているかもしれないなんて知ったら、心が折れてしまっても何も言えないでしょう。

でも、母は、おそらく、自分がくよくよ落ち込んでいては家族みんなに伝染してしまうと思ったのでしょう。
一家の中で最も気丈に、最も明るく振舞っていました。

母のいないところで、父と私と妹の3人で話し合いました。

母は無理をして平気なふりをしているけれど、絶対にしんどいし、気持ちだって必死に前を向こうとしているだけ。
でも、それはあえてそのままにしておこう。
自分たちは、仰々しく接するのではなく、いつも通り振舞って、でも家事などは全力でサポートするようにしよう。

そんな事を話し合いました。

母はというと、相変わらずやりたい事を無理ない範囲でやりながら、家事もこなしていましたが、抗がん剤の副作用はどんどん色を濃くしていき、爪や指先の変色は収まったものの、頭痛や胃もたれに悩まされるようになってきました。

がんの患者会
母と家族のガンとの闘病記

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