母の、抗がん剤の副作用は多種多様で、治療が進むにつれてコロコロと変化していきました。

頭痛や胃のむかつき、だるさなどは割と継続して慢性的に出ていたようなのですが、まず爪と指先が変色し黒くなったり爪が割れたりなどして、それが収まると、今度は口内炎が次々に出るようになりました。

この口内炎、本当に辛そうで、見ていてもしんどかったです。
口内炎は誰でも経験したことがありますから、私にもその辛さは分かります。
子どもの頃は唇や舌を誤って噛んだり、熱いものでヤケドして口内炎を作りましたし、大人になってからも寝不足が続いたりするとすぐに口内炎が出るのですが、1つ口の中にできただけで、何か食べたり飲んだりする時に猛烈に痛い思いをします。
特に出ている場所が悪いと、何も食べていなくても、喋るだけで痛かったり、おちおち眠れないくらい痛んだりします。

この、1つでも辛い口内炎が、母の口の中には入れ替わり立ち代り、消えては出てを繰り返して、常に10個前後の口内炎が出ている状態となってしまったのです。

とてもとても落ち着いて食事を楽しめるような状態ではなく、ヒィヒィあえぎつつ「痛い、痛い」と言いながら食事の時間を過ごしていました。

一度、口の中を見せてもらいましたが、思わず顔をしかめてしまうくらい口の中が口内炎だらけで、それを見るだけであの嫌な感覚が甦ってくるようでした。

しかし、母は、こんなに痛い思いをしているにもかかわらず、食事はしっかり摂り、食後のおやつまで食べていました。

「痛い、痛い」と言いながら。

そして「口内炎だらけなのにすごい食い意地でしょ」とニヤリと笑ってみせるのでした。

半ば呆れながら「本当にね。そんなに食べたいの?」と聞くと、「だって食べなきゃ体力つかないじゃない」という答えが返ってきて、ハッとさせられました。

母は闘っているんだ、と改めて思い知りました。

痛みに耐えてなお、栄養をがむしゃらに体内に蓄えていくその様は、まさに「勇姿」と言っても過言でないくらい、たくましく、頼もしかったです。

こんなことで負けてられるか!という強い闘志が伝わってきました。

思えば、抗がん剤の副作用で胃もたれや吐き気に苦しんでいる時でさえ、母は食べられるならば食べる、という行動を徹底していました。

気力で負けたら体力はどんどん落ちる一方、と母は言っていました。
病は気から、とも言いますが、なんだかこの人は絶対にがんを治してみせるんだろうな、となんとなく確信した瞬間でした。

がんの患者会
母と家族のガンとの闘病記

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