副作用と闘いながら抗がん剤治療を続けていた母のもとに、父方の実家から電話がかかってきました。

話していたのは父でしたが、電話を切ってから、少し深刻な表情で「おばあちゃんが”がん”だって」と言いました。
お腹が痛いと言い出して、病院に連れていって観てもらったところ、おそらく悪性腫瘍で、大腸がんだという事だったそうです。

ただ、祖母はもう93歳。
相当な高齢で、今から手術をしたり、抗がん剤のような劇薬や放射線を使って治療をするのは身体が耐えられない、という事で、そのまま放置することに。

精密検査も身体への負担が大きいので、祖母は「多分大腸がん」という状態のまま放置される事になりました。

本人は手術を望んでいたようですが、痛みがないまま元気に過ごせるのが一番だし、これだけ歳を取ってしまったら進行もかなり遅くなるから、しばらくは元気だし、おそらく、老衰とがんによって亡くなるか、どっちが先か、という問題になるから、と医者に説得されて、どうにか納得したと聞きました。

治せるものなら治したい、という意気込みは流石で、90年以上生きてきた祖母のたくましさが垣間見られました。
母は祖母と直接血の繋がりはありませんが、不思議と似たようなところがあるもんだなぁと思いつつ、祖母に関してはとにかく痛くないように、苦しい思いをしないようにを第一に考えて、治療というか、様子を見る事にしました。

少し離れたところで暮らしていたので、我が家は、近くに住んでいる親戚から電話で話を聞くことしかできませんでしたが、数ヶ月に一度顔を見せにいくと、いつもと変わらない祖母がそこで笑っていました。
体調に関して尋ねると「時々お腹が痛む時はあるけどね、痛み止めを飲んだり張ったりするとラクになるよ」と言い、自分で漬けた梅干を振舞ってくれました。

そこには、とてもおだやかな時間が流れていて、皆が祖母のがんを受け入れて、全員一致で「無理やり治療や手術をせずに、自然に任せて、ただ、痛みと苦しみだけ無いように」という方向でがんと向き合う事にした私たち一族の想いが静かに横たわっていました。
そして、祖母自身もまた、それを受け入れて、穏やかに余生を楽しんでいるようでした。

病気に関してネガティブにならずに、上手に、その時一番良い方法で付き合っていく方法を見出すことができたようです。
私は少しほっとしながらも、祖母との時間を大切にしようと思いました。

がんの患者会
母と家族のガンとの闘病記

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