母が乳がんになった頃、ちょうど芸能界では、北斗晶さんと、小林麻央さんのお二人が、乳がんと闘っていらっしゃいました。

小林さんはまだ小さなお子さんを育てていらっしゃる30代、北斗さんもまだまだ育ち盛りのお子さんがいらっしゃる40代、そして子育てをひと通り終えたうちの母。

なんとも言えない気持ちで芸能ニュースを眺める日々でした。
同じ乳がんでも、性質も進行度合いもそれぞれ異なり、治療法も違えば、状況も刻一刻と変化していきます。

特に、小林さんは見ていられませんでした。
30代という若さで乳がんになってしまったため、がんの進行も早く、みるみるうちに痩せていく小林さんを見て、胸が締め付けられる思いでした。
ブログを拝読していたのですが、それでも常にポジティブなコメントを残し、明るく、今生きている事を感謝する、そんな真っ直ぐなブログでした。
お子さんと過ごす時間、ご主人と過ごす時間を大切に、家族の中で想い出を沢山作って、治療にもいつも前向きに取り組んで、素敵な笑顔を見せてくれていました。

北斗さんも、息子さんがまだ小さい中で、懸命にがんと闘う姿はプロレス時代の強さというよりも、ただただ「母は強し」という印象を与えるような、そんな強さでした。
北斗さんもまた、家族との時間を大切に、今を生きている事に感謝して、前向きに治療にはげんでいらっしゃいました。

うちの母は「今がんになって本当に良かったと思う」とよく言っていました。
これが10年前ならまだ娘たちの手が離れず、10年後だったらもう治療や手術は体力的に難しいから、今、このタイミングで本当に良かった、と。
そういう意味でも、母の目には、小林さんと北斗さんが乳がんと闘う様子は本当に痛ましく映っていたようでした。そして心から応援していました。

小林さんの訃報を聞いて、静かに涙を流していた母の横顔は今でも忘れられません。
まるで自分の娘のように思っていたのかもしれません。
小林さんのブログを愛読し、芸能ニュースなどで病状を逐一確認していました。
自分の病状よりも、小林さんの病状の方が気になるようで、よく家でも「まおちゃんがどうした」という話をしきりにしていました。

北斗さんがまたメディアに復帰された時も、母はとても喜んでいました。

芸能人の方が、乳がんになった事を告白し、闘病の様子を公開することは、とても勇気ある行動だと思います。
誰だって、髪が抜けていく様子や、抗がん剤の副作用でボロボロになっていく様子なんて見られたくないはずなのに、それでも自分と同じようにがんと闘っている人に勇気を与えるために、ああやってご自身の姿をさらけ出す事は、素人には到底真似できない事です。

お二人の勇気と優しさを、母のがんを通してしっかりと受け止める事ができました。

がんの患者会
母と家族のガンとの闘病記

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