前立腺がんは男性では胃がん・肺がんにならぶ、り患率であり、高齢化によって増加し
ている傾向がみられます。早期発見された場合は、治療を行えば健康な人とほとんど
同じ寿命を生きることができます。一方で、転移で見つかった場合は予後不良で5年生
存率は20~30%です。

つまり、一般的に進行はゆっくりで、亡くなるまで経過観察が可能な例や他の理由で亡
くなって、たまたま前立腺がんが見付かる例もありますが、一部は進行がんとなり、死
に至ります。その悪性度を予想するために、PSAや生検によるリスク分類が行われて
います。

経過観察(監視療法)・手術・化学療法・放射線治療がありますが、リスク群によっては
監視療法と手術の成績や、手術と放射線治療の成績などが変わりません。また、ロボ
ット手術や陽子線・IMRTなど新しい手法が確立されていますが、どのように選べばよい
でしょうか?

手術では前立腺全摘術が行われますが、術後の合併症として尿道括約筋損傷による
尿失禁や神経損傷による勃起障害などの性機能障害が起きる可能性があります。

神経温存手術を選択することもできますが、一定の割合で副作用が認められます。高
齢者が多いため、このような副作用が問題にならないこともありますが、健診で見つか
った比較的若年者では生活に起きる支障を考える必要があります。

ロボット手術も有名ですが、寿命が変わるわけではありません。しかし、小さい侵襲(し
んしゅう)で治療を行うことで合併症の軽減・早期回復を図れると言われています。

放射線治療(外照射)では、隣接する膀胱や直腸にも放射線が当たってしまうことで、頻
尿や血便、ひどい時には直腸潰瘍などが晩期に起こるリスクがあります。早期の性機
能障害は手術より少ないと言われていますが、術後数年して加齢も加わり機能低下を
認める場合もあります。

陽子線・IMRTでは前立腺に限局して放射線を当てることで、膀胱直腸障害を減らすこ
とができますが、治療効果の差はありません。この他、組織内照射も選択肢に入ります。

低リスク群や高齢者では治療群と経過観察群で寿命が変わらず、経過観察も選択肢
の1つとされています。しかし、放置してよいという意味ではありません。泌尿器科に通
院し、適切な間隔でPSA検査や再生検を行い進行がんに移行していないかを確認する
必要があります。

自分の前立腺がんのリスクと年齢・生活スタイルに合わせて、主治医とよく相談し治療
法を選択してください。

内科医
村本

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