盲腸がきっかけとなって、新しい抗がん剤治療方法に切り替えた母は、それから毎週病院に通って、軽めの抗がん剤を少しずつ体に入れていきました。

頻度が増えて多少面倒にはなったものの、母の体調は順調そのもので、ひどくなる一方だった、それまでの抗がん剤の副作用も、徐々に軽くなっていきました。

嘔吐や激しい頭痛に悩まされることはほとんどなくなり、手のしびれも感じなくなったそうです。毛髪は、かなり抜けてしまっていて、もともとの抗がん剤の影響が尾を引いてか、それからもずっと抜け続けて、最終的にはほとんど全ての髪の毛が抜けてしまいましたが、痛みは伴わないのでそういう意味では辛くはなく、かなり元気になりました。

同じ抗がん剤でもこんなに威力が違うのか、と軽く衝撃を受けました。
今まで母の身体に入れられていた抗がん剤がどれだけ強い薬だったかと考えると、なんとも言えない、複雑な心境になりました。
おかげでがん細胞は小さくなりましたが、副作用に苦しむ母の姿は見ていて痛々しく、まさに「闘病」という言葉が相応しく、代わってあげられたら、と何度も思いました。

そう、でも、確かに「闘病」だったんだ、とも思いました。
母は抗がん剤の副作用にも耐え、体力を維持するための努力を惜しまず、がんと闘ってきました。盲腸という思わぬ敵に不意打ちにあったりはしたけれど、がんは確実に小さくなっているのです。
これはまさに闘いで、母はがんに打ち勝ちつつあるのだなぁとひしひしと実感しました。

週に1回の、この治療を3ヵ月ほど続けたら、満を持して摘出手術となります。
その手術に耐えうる体力を今から作っておかなければなりません。

新しい治療法に切り替えてから母の体調が良くなり、食欲も増して、すっかり元気になったので、その点はあまり心配していませんでした。
痩せ細ってやつれる事もなく、見ための変化は髪が抜けたぐらいで、肌の血色もすっかり元に戻り、安定した体調で治療を続けられていました。

季節的にも徐々に春めいてきて、暖かくなり、過ごしやすい陽気となってきました。
そんな季節感も母の気持ちを前向きにさせてくれたのでしょう。
手術まで、折り返し、後半は少し気がラクになった状態で幸先の良いスタートです。

がんの患者会
母と家族のガンとの闘病記

この執筆者の記事一覧

医療者コラム

PAGE TOP