今回から、抗がん剤の副作用に話を戻していこうと思います。皮膚障害というのは、発疹やに
きび、乾燥などを含めたいわゆる肌のトラブル全般を指します。どんな薬剤にも同じくらい低
確率に起こりうる「薬疹」を除けば、すべての抗がん剤に高頻度で発現する副作用ではありま
せん。しかし、一部の分子標的薬では普段のケアで治療効果を大きく左右することもある副
作用になります。

■手足症候群とは?
フルオロウラシル系抗がん剤(5−FU、TS-1、ゼローダなど)の殺細胞性抗がん剤や分子標的
薬ソラフェニブ(ネクサバール)などでよく見る手足に水ぶくれができ、赤く腫れる症状を手足
症候群といいます。出現するとチクチクと痛み始め、ひどくなると皮膚がただれるようになった
りもします。名前のとおり手や足にのみ現れることが特徴です。ゼローダで50〜60%(重症 約
10%)、ソラフェニブでは投与開始3カ月ほどで45%(重症 約15%)の人に出現します。なによ
り予防が大切で、手・足をこまめに保湿することでかなり症状が軽減・予防できるといわれて
います。

■抗EGFR分子標的薬の皮膚障害

肺がんに使われる「イレッサ」、「タルセバ」、「ジオトリフ」、大腸がんに使われる「ベクティビッ
クス」、大腸がん・頭頸部のがんに使われる「アービタックス」はEGFR系の分子標的薬といわ
れており、上皮成長因子を阻害することにより抗がん作用を発揮する薬剤です。これらの抗
がん剤は特徴的な皮膚障害をきたします。投与開始2週間ごろよりニキビ様症状、4週ごろよ
り皮膚の乾燥が強くなり、6週ごろより爪まわりの炎症や巻き爪が起き始めます。薬剤にもよ
りますがほとんどの人が少なからず症状を経験しますが、この皮膚障害が強く現れるほどが
んに対してもよく効いているといわれています。(副作用が出ない=効果がない、というわけ
ではありませんが)そのため、皮膚のケアによって副作用をおさえることは、がんにしっかりと
効いている薬を副作用のために中止しなくてはならない事態を避けるために不可欠なのです
。皮膚のケアは一部の抗生物質の抗炎症作用を目的に内服したり、保湿剤、外用ステロイド
剤などを使ったりすることで行われます。また、直射日光の紫外線により症状が増悪すること
があるため、SPF: 30、PFA: 4~8の日焼け止めの使用をすすめています。

この分野については次回、さらに生活上の注意や外用剤の使い方について詳細にまとめて
いこうと思います。特に皮膚に何か塗ったりする習慣のない男性などは非常に苦労されること
が多いのですが、こまめなケアで副作用をおさえることは治療の効果向上に大切なのだと認
識することがまず大切なことなのです。

薬剤師
深井

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