今やがんは国民病といってもよいほど日本で患者さんの数が増えており、大学病院などの大きな病院でなくても診療の中でごく日常的に出会います。みなさんの知り合いや家族にもがんで亡くなってしまった人がいることでしょう。私自身も身内をがんで亡くし、医学の道を志した経歴があります。

では、医療が発達したといわれてる現代でもなお、なぜこんなにもがん患者さんが増えているのでしょうか。その理由と切っても切り離せないのが「高齢化」です。

最近はさまざまなメディアで取り上げられているため、すでに詳しい人もいるかと思いますが、大まかに説明すると、がんは遺伝子(からだの設計図にあたるもの)の病気です。

からだの細胞は分裂するときに、からだの設計図もコピーします。実は、どんな健康な人でも、そのときにいくつものコピー間違いを起こしているのです。ただし、コピー間違いを自動で直す仕組みもからだにそなわっているため、若いうちは問題になりません。

しかし、歳をとるにしたがって、コピー間違いが起きやすくなってしまったり、蓄積したりすることによって、自分の力で直しきれなくなり、からだの設計図が壊れてがんが生まれてしまうのです。

もちろん、これ以外にも、たばこの中の悪い物質や放射線によって遺伝子が壊されたり、ウイルスによって遺伝子が壊されたりすることによって、がんができる場合もあります。遺伝子の病気なので、遺伝的にがんになりやすい人もいます。
がんと一言でいっても、さまざまな場合があるので、ここでは説明しきれないのが本当です。

しかし、誤解を恐れず発言すると、医療の発達によって人が亡くなりにくくなり、高齢化が進めば進むほど、がんにかかる人は増えていくのです。

現在、大まかに3人に1人ががんで亡くなると言われています。これはあくまで、現在の数字です。今後高齢化が進むことにより、2人に1人ががんで亡くなる時代が来るかもしれません。

さまざまな手法でがん医療の研究が進められていますが、現時点で完全に治せるがんは、早期に見つかった場合や、抗がん剤がよく効く場合など、ごく限られているのが現状です。それ以外の進行してしまったがんや、再発のがんでは、一時的に進行を食い止めて寿命を伸ばすことはできても、結局はがんの勢いに負けて亡くなってしまうのがほとんどなのです。

長生きした先にがんで亡くならないために、予防や早期発見が大切です。

内科医
村本

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