皆さんこんにちは。前回は「限度額適用認定証」についてお話をさせていただきました。この制度は入院や比較的大きな治療が行われると分かっている段階で手続きを行う事で、事前に治療費を準備する金額をおさえる有効な手段の一つとしてご紹介させていただきました。

今回の制度は、急な治療や入院が決まり、なおかつ限度額適用認定証の手続きも間に合わなかった場合で、高額療養費制度の申請をする必要が出たが、まとまった治療費を用意できない時に有効な手段です。その制度の名称は「高額療養費貸付制度」といいます。この制度は、現在の「社会構造」のなかで非常に有効な手段ではないかと考えられます。この制度をご説明する前に、少し社会構造について触れさせていただきたいと思います。

現在私たちの社会では「単独世帯(単身世帯)」が非常に多くなっています。その背景は、超高齢社会かつ出生率低下の状況による世帯構成の変化が原因です。「二世帯・三世帯」の減少はもちろん、両親と未婚の子供からなる「核家族世帯」の減少もあります。そのなかで核家族のなかから働きに出た子どもが単独世帯になる事はもちろんのこと、当然「高齢夫婦世帯」で一方が死別したことによる単独世帯も増加しています。世帯構成の変化は、「自分が動けなくなった時に手伝ってもらえる近親者が居ない」ということにつながります。

また、世帯構成の変化は、その世帯の所得額にも影響を与えています。その世帯において所得のある人が複数いれば、世帯の所得も貯蓄もある程度確保できますが、単独世帯ではそれら経済的な余力が少ないのが一般的です。このことから単独世帯では、自分が動けない場合、身の回りで必要な手続きや準備をしていくことがタイムリーにできない場合が考えられます。なおかつ急な医療費の支出から、経済的にもその後の生活が苦しくなることが想定され、治療経過や健康状態によっては生活基盤自体が成り立たなくなることも想定されます。私たちがいつ患者となるか分からない状況において、これらは安心した治療を受けることの障壁になりかねません。

「高額療養費貸付制度」は、限度額適用認定証の手続きをすることができずに、認定証が交付される前に医療機関から医療費の請求を受けている人や高額療養費相当額の支払いが困難な人が対象になります。医療費の自己負担額の支払いに充てる資金として、高額療養費支給見込み額の8割から10割相当額を無利子で貸し付ける制度です。

手続きとしては事前に各医療機関の請求事務担当者や受付窓口などで制度の活用をしたい旨を伝え、各公的医療保険者へ申請の手続きを行います。申請の際に添付していく書類としては、「医療機関で発行した医療費請求書」「被保険者証や受給資格者票」「高額医療費貸付金借用書」「高額療養費支給申請書」などが求められます。各公的医療保険者で名称などが若干違いますので、この制度の活用を考えられた際は、早めに各医療保険者へ問い合わせてみてください。より生活をしやすくするために、さまざまな制度を自分に適した所から活用してはいかがでしょうか。

社会福祉士
佐々木

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