前回では、人工知能(AI)が医療に与える影響についてみました。しかし、ニュースで日々取り上げられていながら、詳しいことは難しくてわからない人も多いことでしょう。今回はそんなAIの動作原理について簡単な解説を行います。AIについて興味はあるけど全く知識がないという人に、これからのテクノロジー関連のニュースの理解にいかせる知識をお伝えします。

■ニューラルネットワークと深層学習

AIに興味のある人なら、「ニューラルネットワーク」「深層学習」を聞いたことがあるかもしれません。これらは実はAIの動作原理として最も代表的なものなのです。

ニューラルネットワークの「ニューラル」とは「神経の」という意味で、つまりこれは人間の神経回路を模した情報処理機だと言えます。具体的には以下のような図で模式化されます。

緑の丸は「ノード」、青の線は「重み」と呼ばれ、それぞれ数値を表します。
上図では、一番左の丸の列を「入力層」、真ん中を「隠れ層」(上図では一つですが、複数あるときもあるため「…」で表しています)、右を「出力層」と呼びます。入力層に入力された数値が、それぞれ重みの数値をかけられて総和を取られて隠れ層に伝わり、最終的に出力層に出力されます。この出力された値と「正解」を比較し、より正解に近い値を正確に出すように重みを調節したり、層を増減させたりします。このようなネットワークがニューラルネットワークで、層を深くした学習を行うとより正確な値が得られやすいことから、深層学習という呼び名がついています。

たとえば入力を握力や50m走のタイムなどの体力測定の結果、出力をその記録を出したのが男性か女性か(男性を1,女性を0とすれば数値化可)としてみます。このときはまず、各人の性別と体力測定のデータ(これを「教師データ」と呼びます)をたくさん学習させ、学習のたびに、性別について統計学的に信頼できる予測ができるような値に重みを調節します。こうして重みを調節して完成するのが、性別は未知で体力測定の結果しかないデータについて、その持ち主の性別を判別できるような「統計学的予測機」です。

つまるところ、AIとは、統計学の理論上可能であった予測方法を技術の発達によって現実に行えるようになったことで生まれたといえるでしょう。AIと統計が密接に関係あるとは、意外に思う人も多いのではないでしょうか。

今回はあくまで、さまざまな事項をそぎ落とした簡潔な説明のみであり、より詳細な理解のためには「線形代数」や「活性化関数」、「誤差逆伝播」などの知識が必要となるのですが、ここでは割愛させていただきます。今話題のAIとは統計学的予測機である、ということさえわかっていれば、テクノロジー関連のニュースが理解しやすくなるかもしれません。

次回は「医療とAIのコラボレーション―①画像診断」というタイトルでお送りいたします。

医療者編集部
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