前回ご説明したとおり、抗がん剤は4つに分けられます。少々学問的な内容が多くなってしまいますが、今回はそのなかで殺細胞性抗がん剤と言われる薬について説明していきたいと思います。殺細胞性抗がん剤は細胞増殖の過程に作用し、これを阻害することで作用を発揮する薬剤です。全部で6つの種類があります。

1.アルキル化薬
1946年ごろに当初は毒ガスとして使用されたナイトロジェンマスタードを起源とするクラシカルな薬剤です。「毒ガスを起源とする」ということからさまざまな誤解を受けることもありますが、現在でもよく使用される臨床活用経験が豊富な薬剤です。DNAの構造を変化させることで細胞分裂ができないようにする効果があります。
例)シクロフォスファミド、イホスファミド、ダカルバジン

2.白金化合物
構造内にプラチナ(Pt)の原子を含む薬剤です。アルキル化薬に似た作用で、DNAの二重構造に結合し、合成を阻害することで細胞分裂を阻害します。
例)シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン

3.代謝拮抗薬
DNAの合成や代謝反応に必要な物質とよく似た構造・機能によって、正常物質の代わりに細胞内に潜り込んで細胞分裂を阻害する薬剤です。どの物質のフリをするかによって更にプリン類・ピリミジン類・シタラビン類・葉酸類に分けられます。
例)フルオロウラシル、ゲムシタビン、フルダラビン、メトトレキサート

4.トポイソメラーゼ阻害薬
DNAの合成の際に関わる酵素を阻害することで細胞死を引き起こす薬剤です。喜樹などの植物から抽出されたことでも有名です。
例)イリノテカン、エトポシド

5.抗がん抗生物質
培養された細菌によって作られるものです。DNAのコピーを阻害したり、DNA鎖自体を切断したりすることによって抗がん作用を発揮します。
例)ドキソルビシン、エピルビシン、ブレオマイシン

6.微小管作用抗がん薬
ニチニチ草や西洋イチイといった植物から抽出される抗がん剤が有名です。微小管とは細胞分裂の際に細胞の維持に関わる物質でこれを阻害することによって細胞分裂を抑制します。
例)ビンクリスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル

これらの薬剤は個々の細かい作用点の違いによって異なる特徴がありますが、基本的に共通した副作用をもっています。それはいわゆる「抗がん剤の副作用」というイメージの吐き気・嘔吐、脱毛、倦怠感、さらに下痢や口内炎といった粘膜障害、免疫力の低下や貧血に関連する骨髄抑制といわれる症状です。これらは抗がん剤ががん細胞を攻撃する際、一緒に正常細胞も攻撃してしまうため起きてしまいます。標的は細胞増殖ですから、より細胞増殖の頻度が多い箇所、つまり粘膜や毛根、造血器官に副作用が現れやすくなります。

では、これらの副作用は治療する以上、避けて通ることはできないのでしょうか。抗がん剤の副作用による負担を軽くし、少しでも生活の質を落とさずに治療に臨むためにはいくつかのコツがあります。各副作用の解説とともに今後その点についても触れていけたらと考えています。

薬剤師
深井

この執筆者の記事一覧

様々な副作用の対処法

がん治療の選び方

がん治療薬について

薬剤師の頭のなか

医療者コラム

PAGE TOP