平均寿命が伸び、高齢化の進む日本には昨今「健康寿命」という概念が定着しつつあります
。文字通り健康でからだが動く状態でいられる期間を表すことであり、自分の足で立てる・歩
ける・ものをつかめる力があるかといった観点から、健康寿命と筋力は非常に密接な関係が
あると考えられます。

■サルコペニアとは?
高齢者と筋力の関係を考えるにあたり、サルコペニアという用語をおさえておくとよいでしょう
。これは日本語では「加齢性筋肉減弱症」と訳され、文字通り加齢に伴う筋力低下を指します。

サルコペニアは一次性と二次性に大別され、一次性サルコペニアは加齢により自然に、かつ
ほかの原因がなく直接的に起こるもの、二次性サルコペニアは寝たきりや食欲不振や消化不
良、疾患など、加齢に伴う別の原因から間接的に発生するものを指します。

高齢者にとって筋力の低下は、ただ歩くことが困難になったりするだけの問題だけでなく、さ
まざまな健康への障害の引き金となります。たとえば筋力の低下により日々の運動量が低下
し、循環器や呼吸器の機能も低下するといった因果関係が起こります。若いときほど無理が
きかなくなっている高齢者では、からだの一部分の不調がなし崩し的に全身の不調へとつな
がってしまうことがありえます。

■サルコペニアの予防と改善
健康な老後を過ごすためにぜひともサルコペニアは避けたいもの。そのためには、若いうち
から筋力トレーニングを積んでおくことが大事です。これにより、加齢による筋力の低下をゆ
るやかにすることができると考えられています(※1)。また、サルコペニアが発症してからでの
トレーニングも、その改善に役に立つという研究結果があります。

具体的には、サルコペニアが進行し、要介護認定を受けた高齢者でも、自分自身の体重を負
荷とした比較的低負荷の運動を続けるだけでも、高いサルコペニア改善効果が見込まれるそ
うです(※2)。ただし、高齢者は筋肉を作るための栄養摂取量や吸収量が若年者には劣るた
め、栄養管理に気を配るべきです。

健康なお年寄りになるという目的ならば、今さらトレーニングをしても遅い、ということはありえ
ません。明日からでも、自分のペースでトレーニングを重ねていきましょう!

※1
Sayer AA, Syddall H, Martin H, et al. The developmental origins of sarcopenia. J Nutr Health Aging 12: 427-432, 2008.

※2
山田実 : サルコペニアに対する介入の考え方. 医学のあゆみ, 248 : 741-746, 2014

医療者編集部
スポーツ医学と運動科学ラボ

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