今回は女性アスリート、またはダイエットをする女性のための記事です。あるスポーツに趣味
で打ち込んでいる女性、そしてそれよりさらに数が多いであろうダイエッター、つまり痩せるた
めに運動をしている女性が気を付けるべきは、栄養をしっかりとることです。子どもを産む体
をもつ女性は、とくに過度な食事制限には気を付けなければいけません。

■痩せすぎると生理が止まるのはなぜ?
「痩せすぎると生理が来なくなる」という話を聞いたことのある人は多いことでしょうが、そもそ
もこのような現象はなぜ起こるのでしょうか。これには、レプチンというホルモンが関わります。
レプチンは、脂肪細胞が分泌するホルモンで、体脂肪の量と血中濃度が比例し、さらに生殖
機能の調整にかかわります。マウスを使った実験では、飢餓状態のメスのマウスは発情しな
くなるが、レプチンを投与したら性周期が回復するとの報告があります(※1)。

ヒトでも、神経性食欲不振症の女性は、体重が減るとレプチンの血中濃度が低下し、月経が
止まるという報告があります(※2)。このように、体脂肪量を過度に減らしてしまうと、レプチン
も減ってしまうため、生殖機能が危機にさらせるため注意が必要です。ちなみにこれは、栄養
状態の悪いときに妊娠をしてしまい、胎児を低栄養状態にさらさないための防衛機構であると
考えられています。

■貧血にもご用心!
運動する女性がもう一つ気を付けるべき体調不良は、貧血です。貧血防止には鉄分やタンパ
ク質を摂取することが重要ですが、生理のある女性はこれらが体外に出てしまい不足しがち
です。さらに鉄分やタンパク質を豊富に含む食材は肉やレバーなどの、ダイエットやスポーツ
のための減量をしている女性には敬遠されがちな食品であるため、摂取の機会が少なくなる
という問題もあります。減量をしていても鉄分やタンパク質はしっかり摂取すべきです。

■一番怖いのは摂食障害
食べないなどの過度な減量の最悪の結果ともいえるのが、過食症や拒食症などの摂食障害
です。無理なダイエットの結果としての拒食症は理解しやすいですが、過食症になる理由は
わかりにくいところですが、過食症で多いのは、大量に食べて吐く、という症状です。そのため
過食症でありながら痩せていくという人も多くいます。

摂食障害は不健康となるだけでなく、ミネラルなどの生命現象を保つのに必要な成分が不足
することで、狭心症や不整脈などで突然死する恐れももたらします。自分にその傾向がある、
またはご友人の中で心当たりがある人は、精神科の受診をおすすめします。
総じて、女性は男性以上に、しっかりと栄養を摂取したうえで運動をすることが必要です。ダイ
エットをしている場合は、体重計や体脂肪計の数字にとらわれることなく、健康的な体型を目
指しましょう。

※1
Halaas JL, et aal. Weight-reducing effects of the plasma protein encoded by the obese gene.
Science, 269 : 475-476, 1995.
※2
佐久間康夫 : 肥満と生殖―摂食調節ペプチドによる生殖機能の調節. 肥満研究, 7 : 93-97,
2001.

医療者編集部
スポーツ医学と運動科学ラボ

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