「看取り」という言葉や意味は
ご存じだと思いますが
「看取り難民」って聞いたことはありますか。

日本の人口は2030年に、
65歳以上の高齢者人口が全人口の31.8%となるといわれています。
そして、約160万人の死亡者のうち、
約47万人の「死に場所」が定まらない
「看取り難民」の大量発生が予測されている年です。

そのため、「看取り」を含めた在宅医療を行う診療所等には
大きな期待が寄せられています。

しかし、現在、日本には約10万件の診療所があるものの、
そのうち在宅医療・在宅看取りの前提となる
「在宅療養支援診療所」の届けを提出したのは、
2012年時点でも14%弱の1万3758件にとどまっています。
加えて稼働診療所の84%が患者数20人未満の
小規模診療所となっています。

2025年から多死社会に突入し、
2040年には病院のキャパシティでは受け止めきれないと
想定される年間死亡者数が40万人分にのぼります。

厚生労働省の調査によれば、
現在の日本人の死亡場所の約80%が「病院」です。
一方、約70%の日本人は「自宅」で最期を迎えたいと望んでいます。
しかし、自宅で受け入れる体制が整っていないことから、
行き場がなくなってしまうのではないかと言われています。

また、病院から在宅での看取りへと切り替えを進めようとしても、
訪問看護師やケアマネージャーなどの人材はもちろん、
設備や体制も整っていないという現状があります。

さらに、医師の年齢も問題になっていて
勤務医の平均年齢が44歳に比べ、診療所医は59歳と高齢です。

夜間対応や休日対応については、病院も在宅診療所医も
同じですが、特に在宅看取りの中心となると思われる
がん患者の場合、終末期で一気に症状が進行し、
頻回訪問や夜間対応も多く求められます。
年齢の高い診療所の医師にとっては、
体力的につらい状況ですが、
現在の日本では、在宅医を育てる教育的プロセスはなく、
それも在宅医が増えない原因だという現実があります。

このように、「看取り難民」問題には、
多くの課題が隠されており、今後さらに、
他職種での協力体制、在宅医療を支える人材の育成に加えて、
患者さんや御家族の自律が促される必要を
痛感しています。

看護師
かたおか さちこ

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