さて、今回は前回に引き続いて分子標的薬の種類について説明していこうと思います。分子標的薬は1980年代後半から明らかになり始めたがんの浸潤・転移・増殖に関わる分子をターゲットにした薬剤のことを指します。慢性骨髄性白血病に用いられるイマチニブを発端として様々な種類の薬剤が登場しており、現在のがん治療を語るうえで欠かせないものとなっています。この分子標的薬の登場により今まででは考えられないほど治癒率が上がったり、仕事や家事を続けることできたりする人が増えました。分子標的薬はがん細胞のみを狙って作用するようにデザインされた薬剤であるため、当初は副作用も非常に軽減されることが期待されていましたが、実際は正常細胞にも全く作用しないわけではなく、今までの抗がん剤では見られなかったような特徴的な副作用が起こることもあります。

分子標的薬のなかには事前に効果を予測できるものがあります。たとえば肺がんは分子標的薬の研究がよく進んでおり、EGFR、ALK、ROS1などのさまざまな遺伝子を事前に調べて最適な薬物療法計画を立てることが既に一般的になっています。乳がんではHER2という遺伝子を調べることによって今までは治療効果が非常に悪いと言われていたタイプの乳がんで劇的に良好な治療効果を得られるようになりました。腎細胞がん、大腸がん、血液がんでも分子標的薬は欠かせない存在であり、その登場で大きく状況が変わったといえます。

では、その分子標的薬の副作用にはどのようなものがあるのでしょうか。例えばEGFR阻害薬(アファチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、セツキシマブ、パニツムマブ)といった薬剤では皮膚障害(にきび、乾燥、爪囲炎)や下痢、薬剤性肺炎などに注意が必要です。特に皮膚障害の程度は効果と比例するとも言われている一方、本当にひどくなると薬の継続が難しくなるケースも珍しくありません。患者さん本人の皮膚のケアが非常に大切になる薬です。VEGF阻害薬では粘膜からの出血や血圧の上昇、飲み薬のものでは手足症候群という手足の水ぶくれ、口内炎などが起きることもあります。

他にもさまざまな副作用があるものの、分子標的薬の副作用は傾向として従来の殺細胞性抗がん剤に比べて入院を必要としないことが多いと言われています。分子標的薬は非常に有効な薬であることは間違いありませんが、その有効性を発揮するために患者さん本人の副作用への理解、そして対処法を学ぶ姿勢がこれまで以上に大切な薬剤であるといえます。

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深井

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