トレーニングをした翌日、仕事中に疲労感に襲われる―そんな経験のある方も多いと思われます。当然ですが運動後は疲れを残したくはないものですよね。そのためには、運動前後での栄養の摂取が大事になってきます。日常的な疲れを気にせずトレーニングをするためには必見です。

筋肉疲労と中枢性疲労

日常経験からもわかりやすいかと思われますが、疲労には二種類あり、筋肉痛などの筋肉疲労や、脳や神経に由来する、いわゆる「頭の疲れ」「倦怠感」のような中枢性疲労がそれにあたります。どちらも、その部位の活動に必要なエネルギー源が枯渇したり、疲労物質がたまったりすることで起きます。また筋肉疲労については、トレーニングによる筋肉の損傷がその原因となることもあります。

中枢性疲労への対抗策

よく「糖分が足りなくなると脳が疲れる」と聞きますが、その言説は当たっており、脳はグルコース(ブドウ糖)を主要な栄養素としています。したがって、長時間糖分を摂取せずに運動をしていると脳のエネルギーが枯渇し、中枢性疲労となることがあります。頭の疲れを残したくなければ、トレーニング中でも適度にグルコースを補給しましょう。

さらには、脳内物質のセロトニンも中枢性疲労の原因であると考えられています。セロトニンは、トリプトファンというアミノ酸が原料であり、脳内に輸送されてセロトニンに変換されます。そしてこのトリプトファンを脳内に輸送する輸送体は、他のBCAA(分岐鎖アミノ酸)を脳内に輸送する役割も持ちます。ゆえに、BCAAが体内にたくさんあれば、輸送体はそれを脳内に輸送することを優先するため、トリプトファンの脳内輸送が抑えられ(これを「競合的阻害」と呼びます)、結果としてセロトニンが産生されにくくなり、疲労の抑制につながる可能性があります。事実、運動前にBCAAを摂取すると主観的には運動が楽に感じるという報告もあるそうです(※1)

筋肉疲労への対抗策

グルコースは筋肉の栄養源でもあり、これを運動後にただちに補給することは疲労回復のために有効です。また、筋肉疲労の関連物質として有名なものとして乳酸があり、これを除去することが疲労の回復につながります。この効果を持つ物質としてはクエン酸があげられます。中学高校の部活の練習後にレモンの砂糖漬けを食べたことのある方もいらっしゃるかもしれませんが、グルコースとクエン酸を摂取するという点では理にかなっています。

このほか、運動により損傷を受けた筋肉の回復のためには、運動前のアミノ酸摂取または運動後のタンパク質摂取が有効です。詳しくは「筋力アップのための栄養摂取のベストタイミング」をご覧ください。

※1
Blomstrand E, et al. : Influence of ingesting a solution of branched-chain amino acids on perceived exertion during exercise. Acta Physiol Scand, 159 : 41-49,1997.

医療者編集部
スポーツ医学と運動科学ラボ

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