アスレティックトレーナー(AT)の役割は、競技者の健康管理、救急処置、予防・リハビリ・トレ
ーニング等のコンディショニングです。普段、ATとして活動している中で、「がん」と接する機
会は多くありません。しかし、上記の役割の中には、がんと関わりを持つものもあります。

■内科的疾患とメディカルチェック
ATが関わる可能性が高い疾患は、循環器系疾患を代表とする内臓器官などの疾患、感染症
、オーバートレーニング症候群、突然死、摂食障害などが挙げられます。それらの中でも、特
に突然死のような事故を予防するために、内科的メディカルチェックが活用されています。

内科的メディカルチェックは、問診から始まり、理学所見・血液検査・尿検査・胸部X線写真・
安静時心電図などで構成されます。さらに、胸痛や絞扼感などの自覚症状を確認しつつ、運
動負荷試験・心エコー図検査などが必要に応じて行われることがあります。
ATとしては、これらのメディカルチェックの結果を把握し、医師や指導者と連携を取り、事故の
予防・対策を立てておくことが重要です。

■競技者の喫煙
喫煙により、がんの発症リスクが高まることは周知の事実です。競技者への悪影響としては、
持久力の低下や集中力の低下、呼吸器症状が発生することが知られています。しかし、競技
者の中にも、喫煙が習慣化されてしまっている人もいるのが現状です。

私自身、スポーツの現場において、体を資本にしているはずの選手が喫煙をしているという
場面に遭遇したことがあります。もちろん、「吸う・吸わない」は選手の自由なのですが、喫煙
には競技者への悪影響が多くあるということを、ATとして選手へ発信していく必要があると考
えています。

■運動器のがん
運動器(骨・関節・筋肉・神経など)のがんとして知られているのは、骨肉腫と呼ばれる疾患で
す。がんの中では珍しいものですが、小児の骨に発生する悪性腫瘍の中では、最も数が多い
ものとして知られています。

骨肉腫は初期の自覚症状として、疼痛や腫瘤があることが一般的です。骨肉腫にかかわら
ず、がんにおいては早期発見が非常に重要です。競技現場に長くいると、運動器が痛いと言
われてすぐに疼痛部位付近の外傷・障害を思い浮かべます。良いATであれば、最悪のケー
スを想定した対応・行動をとることで、骨肉腫によって悲しむ人を減らせるかもしれません。

Jリーグクラブ・アスレティックトレーナー / 修士(体育学)
下田 源

大学院にて体育学(スポーツ医学)の修士号を取得後、同大学研究員等を経て、
Jリーグクラブのアスレティックトレーナーに就任。
アカデミーからトップチームのトレーナーを歴任し、幅広い年代の選手に対するコンディショニング・フィットネス・リハビリテーションを担当。
また、アスリートだけではなく、一般の方を対象としたトレーニング・フィットネス・コンディショニング指導も実施中。
資格
:日本体育協会アスレティックトレーナー
、NSCA公認ストレングス&コンディショニングスペシャリスト
、高等学校教諭(保健体育)


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