前回に引き続いてニボルマブの話をしようと思います。

ノーベル賞の受賞があってから、患者さんから「わたしにはニボルマブは使えないの
ですか?」と尋ねられることが何度かありました。ニボルマブは夢の薬のようにメデ
ィアで取り上げられていましたが、万能薬ではありません。現在その効果がはっきり
している疾患は限られています。

・ 悪性黒色腫
・ 切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
・ 根治切除不能または転移性の腎細胞がん
・ 再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫
・ 再発または遠隔転移を有する頭頚部がん
・ がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃がん
・ がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫

現時点ではこれらの疾患以外へのニボルマブの効果は認められておらず、臨床試験や
治験など以外の方法では使用することができません。また、上記の疾患であっても、
スタンダードな治療法(標準治療)が確立されており、これに従った薬剤の使用順が
基本となります。いつでも好きなタイミングで、というのは勧められません。ただ、
今後さらなる適応拡大や併用療法などは開発されていくでしょう。

■ どこでも投与できる薬ではありません
ニボルマブは安全のため一定の要件を満たした医師・医療機関のもとで投与するよう
に厚労省からも注意喚起が行われています。がん診療連携拠点病院や、特定機能病院
などのがん治療の経験がしっかりある機関で、所定のがん治療・がん薬物療法の研修
を行っている医師のもとでの投与を行うようにという通達です。つまり、市中のクリ
ニックやがん治療を普段行っていないような医師による投与は認められていないとい
うことですね。

現在、ニボルマブのノーベル賞受賞によるフィーバーに乗りかかるように、安全性・
効果のほどが不明瞭な“免疫療法”などという名目で患者さんを集めるクリニックもあ
りますが、こういった治療は基本的に勧められません。免疫療法といっても多種多様
でニボルマブのように効果の認められたものから、眉唾なものまで多く存在していま
す。

なかにはニボルマブと他の免疫療法の併用する治療法を提供しているクリニックもた
くさんあるようですが、そもそも、前述したように小さなクリニックレベルでのニボ
ルマブの投与は推奨されていないことです。治療法を考える際はこのことをよく注意
して考える必要があります。

■ 絶対完治すると勘違いしないように
メディアで夢の薬と取り上げられていたニボルマブですが、現時点での効果は誰でも
完治させたりがんが消え去ったりするようなものではありません。確かに著効し、非
常に良好な治療成績を上げる人もいますが、治療開始時は主治医にどれくらいの効果
が期待できるのか、既存の臨床試験のデータなどをよく確認しておくことをお勧めし
ます。

薬剤師
深井

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