アスレティックトレーナーは、アスリートが持つ運動器の機能改善をサポートする役割を担い
ます。運動器とは、骨・関節・筋肉・神経など、体の支持(支えて持つこと)や運動をおこなう組
織の総称です。がんは運動器にも発症する疾病であり、その代表的なものが骨肉腫です。

・骨肉腫とは
骨肉腫は、がんの中では珍しいものですが、運動器に発生する悪性腫瘍の中では、最も数
が多いものです。特に、10歳代に多く発生し、60〜70%が膝関節周辺にみられます。一般的な
症状としては、疼痛・腫れ・熱感・関節の動かしにくさなどが挙げられます。

身近な検査方法としては、X線撮影が知られており、骨・筋肉・脂肪の変化から診断すること
ができます。特徴的な所見は、spicula(とげ状の突起)やCodman三角が認められています。
また、境界が不明瞭な骨破壊や骨形成も典型的な所見です。良性腫瘍や腫瘍類似疾患との
鑑別も必要となるため、CT・MRI・針生検などの検査の選択も含めて、総合的な判断と早期発
見が重要です。

骨肉腫は転移を生じる可能性が高いため、診断が確定した段階で早急な化学療法が必要と
なります。化学療法が有効である場合には、骨破壊が起きている病巣は小さくなるとともに
、X線画像による境界は明瞭となります。

化学療法の効果が得られない場合には、CTやMRIにおいて腫瘍を精査し、手術療法の選択
が検討されます。その際には、患者の主訴や目標に基づいて、切除する範囲の決定・手術方
法の検討が必要となります。切除する範囲の違いにより、腫瘍内切除・辺縁切除・広範切除・
治癒的切除に大別されます。治癒的切除は、関節をまたぐ転移の可能性が高い場合に行わ
れ、下腿全体などの広い範囲で切除する方法を指します。手術療法が選択された場合でも、
術後に転移が発生していないかを確認するために、予後の検査は非常に重要です。

・鑑別すべき疾患
骨肉腫に類似した所見があり鑑別が必要な疾患として、骨膜炎、骨髄炎、骨芽細胞腫、線維
性骨異形成、線維性骨欠損、骨内ガングリオンなどが存在します。前述のように、骨破壊や
不規則で均一でない骨形成の有無により鑑別が可能ですが、不可能な場合には他の検査を
選択し、早期の確定診断が必要です。

Jリーグクラブ・アスレティックトレーナー / 修士(体育学)
下田 源

大学院にて体育学(スポーツ医学)の修士号を取得後、同大学研究員等を経て、
Jリーグクラブのアスレティックトレーナーに就任。
アカデミーからトップチームのトレーナーを歴任し、幅広い年代の選手に対するコンディショニング・フィットネス・リハビリテーションを担当。
また、アスリートだけではなく、一般の方を対象としたトレーニング・フィットネス・コンディショニング指導も実施中。
資格
:日本体育協会アスレティックトレーナー
、NSCA公認ストレングス&コンディショニングスペシャリスト
、高等学校教諭(保健体育)


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