■これまで発見が難しかった初期の子宮内膜がん・卵巣がんを見つけ出す
今回ご紹介するのは、アメリカのジョン・ホプキンス大学で開発された子宮内膜がんと卵巣がんの
スクリーニングシステム、PapSEEKです。

今や日本人の3分の1ががんになる時代。子宮内膜がんや卵巣がんにかかる女性も少なくありま
せん。しかしながら初期の子宮内膜がんや卵巣がんは自覚症状がなく、発見が難しいと言われて
います。また、自覚症状を感じる段階ではすでにがんが進行しているケースもあるため、できるだ
け早期に発見できる方法が求められています。

新しく開発された子宮内膜がん・卵巣がんスクリーニングシステム:PapSEEKは、従来の子宮頸が
ん検診で使用されるサンプリング方法と同様のやり方で検査が可能です。

このサンプリング方法は綿棒のような専用のブラシで、子宮頸管壁を軽くこすり細胞を採取するだ
けなので、痛みはほとんどありません。従来の方法では、細胞診といって、採取した子宮頸部の
細胞の形状を顕微鏡で観察して、がん細胞が入っていないかどうか判断していました。

これまでは子宮頸管部のがんの有無しか検査できないと考えられていたのですが、こうして採取
したサンプルの中に、子宮内膜がん、卵巣がんまでも見分けることのできる微細なバイオマーカ
ーが含まれていることがわかったのです。そのバイオマーカーは、子宮内膜がん、卵巣がん由来
のDNAで、PapSEEKシステムでは、そのがん由来のDNAの有無を判定します。

■PapSEEKではがん由来の変異したDNAを高確率で検出できる
ジョン・ホプキンス大学の研究者らは、子宮内膜がん・卵巣がんを患っている患者の検体を使って
、実際にPapSEEKシステムがどれほどの精度でこれらのがんの有無が検出できるかを検証しまし
た。その結果、子宮内膜癌では81%、卵巣がんでは33%の確率でがんを検出しました。さらに
がんではない健康な女性の検体で調べたところ、偽陽性が出たのはわずか1.4%にとどまりまし
た。

さらに検出精度を上げるために、子宮内部まで挿入できる専用のブラシを用いて採取を行い
、PapSEEKシステムでがんの有無を調べました。すると、子宮内膜癌では93%、卵巣がんでは
45%の確率でがんが検出できました。

卵巣がんにおいては、子宮内膜癌の場合に比べて検出精度は下がるものの、血液検査など他の
スクリーニングと組み合わせて検証することで、将来はより正確な検出が可能になるということで
す。

医学博士・元医学研究者
榎本 蒼子

2009年 博士号(医学)を早期取得の上、京都府立医科大学大学院・医学研究科を卒業
2009年 (独)日本学術振興会・特別研究員PD (Postdoctoral fellow)
2011年 京都府立医科大学大学院・医学研究科・博士研究員
2011年 京都府立医科大学大学院・医学研究科 総合医療・医学教育学 助教
2015年 京都府立医科大学大学院・医学研究科を退職

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