■口腔の役割と口腔ケア
口はなんといってもおいしいものをおいしいと感じることのできる、生きる力の源になる器官で
す。それだけではなく、家族や友人たちと楽しい会話をしたり笑ったり、歌ったりとさまざまな
役割があります。だからこそ、普段から気を付けて健康を維持するために口腔ケアをする必
要があるのです。

私自身の話で恐縮ではありますが、このような形で人々に健康について話す機会が多くなる
につれ、まずは自分の健康にも気遣うことをしなければと思うようになりました。その中で最も
大切だと感じるものの一つが口腔ケアです。だからこそ今となっては若かりし日につくった「ム
シ歯」は全て治療を終え、定期的に歯石除去にも通っています。健康の基本は健康な歯から
、ですので是非皆さんも意識してみましょう。

■がん治療と口腔の健康に及ぼす影響
今回は、がんの治療と口腔ケアにはどのような関係があるか見ていきましょう。化学療法は
がん治療の一つですが、この影響を大きく受けるのが活発な分裂、増殖している口腔内です
。口腔粘膜は感染症などの菌が体内に侵入するのを防ぐため、絶えず分裂し増殖し、防御す
る役割を担っています。

しかし、化学療法ではがん細胞だけではなく必要な細胞も破壊してしまう副作用があり、残念
ながら口腔内の細胞も破壊されると防御が効かなくなり、ほんの小さな傷でも粘膜炎や口内
炎を引き起こしてしまいます。さらに唾液も少なくなるため、虫歯になりやすくなり、食べ物が
摂取しにくい、味覚が感じにくいなど、思いがけないような弊害が生じてしまいます。このよう
な状態が続くと食事量が減り、体力が落ち、気持ちにまで影響が及ぶことにもなりかねません。

■がん治療と口腔ケア
普段の生活の中でうがいや歯磨きの習慣は人それぞれと言ってしまえばそれまでですが、粘
膜に影響の出やすい化学療法中は、普段よりも丁寧な口腔ケアが必要です。歯ブラシは柔ら
かく清潔なものにし、優しく磨きます。

食後の歯磨きはもちろんのこと、起きたとき・食前・寝る前などにもうがいをして常に清潔を保
つことで感染症を予防することにつながります。

ここで大切なことはやはり病気になる前の口腔ケア習慣です。普段あまりうがいや歯磨きに
気を遣わない生活を送ってきた患者さんの場合、治療が始まりうがい歯磨きを頻回にしましょ
う、と言われて戸惑う患者さんが多いです。化学療法中は、ほんのささいな感染症が命取りに
なるため、患者さんとともに口腔内の清潔には細心の注意を払います。

■日々の生活を丁寧に過ごしましょう
今回は化学療法中の口腔ケアについてでしたが、化学療法をしていなくても、口腔ケアは日
常生活の中で重要な位置を占めています。2人に1はがんになる時代に備えて日々の生活を
整えていきましょう。

看護師・保健師
舘野
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