抗がん剤治療が始まると、体にはさまざまな変化が生じます。嘔気や嘔吐、倦怠感、発熱な
どの体調の変化だけではなく、見た目にも多くの変化が生じます。爪を例にすると、爪が割れ
やすくなったり、乾燥してさかむけが起こりやすくなったり、爪の周りの皮膚が硬くなったりする
ことがあります。

また、爪が折れてしまったとか、爪が薄くなって、お風呂に入るときにお湯につけたり、ドラ
イヤーの熱が当たるだけでも痛いと感じてしまうという人もいます。それ以外に爪の色が悪く
なってしまったという人もいます。抗がん剤によるさまざまな影響で血流不全が起こり、爪が
黒っぽくなったり、逆に白っぽくなったりして、本来のきれいなピンク色が失われてしまうこ
とがあります。

抗がん剤ではさまざまなQOLの低下が問題視されますが、特に女性であれば、爪や髪の毛と
いった、命に別状はない部分ではあるものの見た目に大きな変化があることが非常にストレ
スになってしまい、QOLの低下の一つとして挙げるケースがあります。特に若い女性であれば
あるほどその傾向は強く、爪がボロボロになったり、髪の毛が抜けてしまったりなどの見た目
の変化によるストレスが、がん治療の妨げになってしまうことがあるともいわれています。

ストレスは大量の活性酸素を発生させ、体の細胞の正常な代謝を妨げてしまいます。免疫力の
低下にもつながり、がんの新たな発生や再発・転移のしやすさや、抗ガン治療を遅らせてしま
うなどの原因になります。

少しでもストレスを軽減させてQOLを向上させるという意味で、がん治療中の患者に対して、
希望があればネイルケアを行うのは有効といえます。ただ、爪が折れてしまって極端に短くな
ってしまっていたり、菲薄化してしまっている場合は、ネイルケアを行うことが難しい場合もあ
るので、本格的に抗ガン治療がスタートするより少し前からネイルケアをこまめに行うのがよ
いでしょう。

爪切りで爪を切るよりもやすりで整えるほうが爪の負担になりません。マニキュア
やジェルネイルを使用する場合は、匂いや長時間同じ体勢をすることが患者の負担になって
しまうこともあるので、体調を見ながら行うのがよいでしょう。ネイルケアと一緒にハンドマッサ
ージも取り入れることでよりストレス解消につながります。

医師 美容皮膚科
山下 真理子

1985年岡山県生まれ。京都府立医科大学を卒業後、医師に。美容医療だけではなく、栄養学などでは全国的に講演活動などを行うほか、専門学校での医療教育にも努める。
現在は大阪市内の美容クリニックに在籍中。産業医、ウルセラ認定医、サーマクール認定医、日本抗加齢医学会所属医師。日本毛髪美容学会理事として勤めたほか、認定レイキヒーラーとして美容ヒーリングにもかかわる。

PAGE TOP