前回からの続き

がんの認知行動療法を中心とした治療パッケージのなかに「自律訓練法」という項
目が出てきました。これからしばらく、この自律訓練法について解説してみようと
思います。

現在はこの療法はリラクセーション技法の中に分類されますが、もともとは催眠に
よる心理療法の中から派生した自己催眠法です。自己催眠というくらいですから、
自分で自分に催眠をかけるわけです。自分で自分に催眠をかける事なんてできるの
か? とあなたは思われたかもしれませんが、これができるのです。

通常の催眠療法は、セラピストがクライエントに対して催眠誘導を行って催眠状態
に導いていくわけですが、こうした治療法が有効に働くためには、それなりの環境
とかなりの時間を必要とします。ですから、なかなか現実的には難しいのが実情で
す。そこで、セラピストがクライエントに対して行う催眠誘導の部分だけを取り出
し、自分でできるようにしたのがこの自律訓練法なのです。

どうして催眠がリラクセーションに使えるかといいますと、通常催眠状態というの
は極度のリラックス状態を伴っているからなのです。卑近な言葉で言い換えますと
、催眠状態は「心地よくて気持ちいい」のです。テレビなどで催眠術にかけられて
いる人が術者の誘導に従っていますが、あれは決して術者に「思いのまま」に操ら
れているのではなく、催眠にかかっている人が「非常に心地よくて気持ちいい」の
で、おおらかな気持ちで術者の指示に「付き合って」あげているわけです。これが
催眠術の本質です。

そのくらい催眠状態は「心地よく気持ちいい」状態ですから、このときに伴うリラ
ックス状態を利用して心身の体調管理につなげようというのがこの自律訓練法なの
です。

つづく

医師 総合診療医/心療内科医/漢方医/産業医
飯島 慶郎(いいじま よしろう)

臨床心理士/産業カウンセラー/認定産業医
総合内科専門医/家庭医療専門医/東洋医学会認定医

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