喫煙により、発がんのリスクが高まることは周知の事実です。また、慢性的な閉塞性肺疾患・
虚血性心疾患などのリスクファクターとしても知られています。また、アスリートへの悪影響と
しては、持久力の低下や呼吸器症状が発生することが知られています。では、どのようなメカ
ニズムで運動能力に悪影響が及ぼされるのでしょうか。

■心臓機能への影響
喫煙と運動時の心臓機能の関係を検討した縦断研究では、喫煙と加齢に伴って運動時の循
環器系機能が低下することを報告しています。これは、たばこに含まれるニコチンにより末梢
血管収縮作用が働き、心拍数が増加することによるものだと考えられます。それだけではなく
、たばこの煙に含まれる一酸化炭素は、酸素の約250倍もヘモグロビンと結合しやすいと言わ
れています。それが原因で、体の組織への酸素運搬能力が低下し循環器系への悪影響へと
つながります。

■肺機能への影響
喫煙の習慣と肺機能を検討した研究では、喫煙者の肺活量・1秒量(1秒間当たりのの肺活量
)は非喫煙者よりも低値を示していました。喫煙者の肺には、細気管支などの末梢気道に慢
性的な炎症が生じると考えられています。さらに、たばこに含まれるガス成分と粒子成分も咳
などの呼吸器症状を引き起こす原因となります。その結果、次第に肺胞の破壊と中枢気道病
変を進行させます。

当たり前の話ですが、スポーツは日常生活以上に酸素を必要とする活動です。体を動かす際
に酸素やエネルギーが必要となるため、心拍数が上昇するものが大半です。喫煙者がスポ
ーツをするということは、体のあらゆる組織が酸素不足で苦しくなっているようなものです。さ
らに、そもそも取り組む酸素が少ない・取り組んだ酸素が上手に運搬されないとなると、喫煙
がパフォーマンスに悪影響を及ぼすことは想像に難しくありません。

Jリーグクラブ・アスレティックトレーナー / 修士(体育学)
下田 源

大学院にて体育学(スポーツ医学)の修士号を取得後、同大学研究員等を経て、
Jリーグクラブのアスレティックトレーナーに就任。
アカデミーからトップチームのトレーナーを歴任し、幅広い年代の選手に対するコンディショニング・フィットネス・リハビリテーションを担当。
また、アスリートだけではなく、一般の方を対象としたトレーニング・フィットネス・コンディショニング指導も実施中。
資格
:日本体育協会アスレティックトレーナー
、NSCA公認ストレングス&コンディショニングスペシャリスト
、高等学校教諭(保健体育)


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