前回は、喪失体験の後の悲しみの10段階のうち、第6段階「喪失に罪責感を抱く」についてお話
ししました。そのなかで、罪責感には「正常な罪責感」と「病気としての罪責感」があるとしました。
「正常な罪責感」とは、人間として抱くのが当たり前である、あるいは抱くべき感情です。

罪責感を感じた時、自分に問いかけてみてください。「自分は誰かを故意に傷つけたか」「誰かに
故意に迷惑をかけたか」。この2つがないのに罪責感を感じているとき、それは「病気としての罪
責感」の可能性が高いです。

「病気としての罪責感」とは、人間として抱くべきではない、あるいは抱かなくても良い感情です。
私たちは、周囲の人々が自分よりもずっと、(自分からみて)とても大変な事柄を抱えているとき、
その人々に対して罪責感を抱くことがあります。例えば、親しい友人が命にかかわる病気をしたと
き、受験で自分は受かっても友人が落ちた時など。また、身近な人が亡くなった時、「もっと○○し
てあげればよかった」「自分が○○していれば死なずに済んだかもしれない」という罪責感に苛ま
れることもあるでしょう。このような時期は「悲しみが癒えていく段階」で必ず通る道です。

まず、「病気としての罪責感は抱くべきではない」「自分を責めても、相手の状況がよくなるわけで
はない」と頭で理解しましょう。そして、相手の強さを、相手の人生を肯定しましょう。あなたには、
相手のことを思いやれるほどの強さがありますが、相手にもあるのです。あなたがあなたの人生
を生きるように、相手も相手の人生を生きています。仮にあなたが相手と同じ立場になったとして
、周囲の人が罪責感を感じていたらいかがでしょうか・・・?嫌な気持ちになりませんか・・・?必要
以上に罪責感を抱かず、「あなたがこの問題を乗り越えられることを信じている」「(亡くなった方に
対して)あなたはあなたの人生を精一杯生きた、それは尊いことだ」と肯定した方が、相手は楽に
なるのではないでしょうか。

もしも、「病気としての罪責感」から長期間抜け出せず、食事や睡眠がとれない、日常生活に影響
があるというときは、精神科を受診してみてください。

次回は、第7段階の「怒りと怨みでいっぱいになる」段階についてお話ししたいと思います。

医師・精神科医
樋野 (ひの)
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