前回は炎症には急性炎症と慢性炎症があること。また、がんと関わりがあるのは慢性炎症で
あることについてお話しました。今回は慢性炎症の原因について詳しく見ていきます。

■慢性炎症とは?
慢性炎症の原因にはさまざまなものがありますが、もっとも身近なのは消化管(食道、胃、小
腸、大腸など)で起こるものです。自覚症状に現れていなくても、消化管に炎症が起こってい
るケースは非常に多いと思われます。特に下痢や便秘気味の人の場合はその可能性が高い
でしょう。

食べたものにアレルゲン(アレルギーの原因となる物質、乳糖やグルテンなど)が含まれてい
る場合に起こる炎症反応が、その代表的なメカニズムになります。食物アレルギーによって生
じる慢性炎症は、胃がんや大腸がんのリスクを高めることがわかっています。しかし、そのメ
カニズムは未だ完全に解明されていません。

また、自己免疫疾患(リウマチや慢性潰瘍性大腸炎、クローン病など)を患っている場合も体
の中では慢性炎症が起こっています。クローン病は大腸がん、逆流性食道炎は食道がん、C
型肝炎(アルコール摂取も含む)は肝臓がんとの関連性が強いと言われています(クローン病
患者が大腸がんにかかる割合は、そうでない人に比べ5倍から7倍高いと言われています
(Ekbom A, 1990, http://bit.ly/2AuqtiU))。具体的な炎症性疾患と関連性の強いがんの種類
については、以下の表をご参照ください(表1)。

最後に慢性炎症はがんだけでなく、アルツハイマー病や糖尿病、心筋梗塞、さらに脳梗塞な
どの発症リスクを顕著に高めることもわかっています。

スポーツカイロプラクター・医学博士(スポーツ医学)
榊原 直樹

1992年東北大学(動物遺伝育種学専攻)を卒業後渡米。1997年にクリーブランドカイロプラクティックカレッジを卒業後、カリフォルニア州のDoctor of Chiropracticライセンスを取得。2006年にはトリノオリンピックにスポーツドクターとして帯同。2007年に帰国。現在は名古屋にて施術の傍ら講演、執筆、スポーツの世界大会帯同、スポーツ医学の研究などの活動をしている。日本スポーツ徒手医学協会(http://jamsm.org/)代表。元岐阜大学大学院医学系研究科非常勤講師。医学博士。

主な著作:触ってわかる美術解剖学(邦訳、2012)、人体デッサンのための美術解剖学ノート(邦訳、2014)、シェパードの人体ポーズと美術解剖学(邦訳、2017)
主な執筆論文;Influence of lumbopelbic stability on deadlift performance in competitive powerlifters. Naoki Sakakibara, Sohee Shin, Tsuneo Watanabe, and Toshio Matsuoka; SportLogia, 10(2), 89-95, 2014

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