がんになるとさまざまな原因により「がん性疼痛」と呼ばれる痛みの症状が現れます。
「麻薬は怖いから」「寿命が縮んじゃう」と、がん性疼痛の治療に医療用麻薬を使用する
のを躊躇する患者も多いのではないでしょうか。日本では、「がん性疼痛の治療」は「が
んそのものの治療」に比べてあまり注目されていません。また、「医療用麻薬」に関する
誤った認識をしている患者も多いです。がん患者がQOL(生活の質)を保つためにがん性
疼痛の治療は非常に大切であり、誤った認識は不利益をもたらします。がん性疼痛の治療
の実情と医療用麻薬について正しく理解していきましょう。

■日本では「がん性疼痛の治療」が遅れている
日本以外の先進国では「がん性疼痛の治療」は当たり前に行われています。しかし、WHO
が国別に算出している「医療用麻薬の適正使用量」において、日本は189mg/人が適正使用
量であるのに対し、実際は29mg/人の使用量であるのが現状です。これは医療用麻薬を使
用し、がん性疼痛の治療に取り組む患者が少ないことを意味します。では、なぜ日本では
がん性疼痛の治療が遅れているのでしょうか?

■医療用麻薬による依存や死期を早める心配はいらない
医療用麻薬は「麻薬」という文字がついていることから、違法麻薬のような依存性を想像
し、怖いと感じる患者が多いです。また、医療用麻薬を使用すると寿命が縮んでしまうた
め「最期の手段」と、捉えている患者もいます。どちらも誤った認識であり、このような
認識が日本でのがん性疼痛の治療の普及の妨げになっていると考えられます。医療用麻薬
は国が承認している有効性・安全性が確認された薬であり、医師の処方により正しく使用
されれば依存や死期を早めるといった心配はいりません。痛みが治まれば使用を中止する
ことも可能です。

■副作用症状は対処可能
医療用麻薬の主な副作用症状には「吐き気」「便秘」「眠気」があります。これらの副作
用症状は対処可能です。吐き気は医療用麻薬を使用し始めに現れることが多いですが
、1~2週間ほどで治まります。吐き気がひどいときには、吐き気止めでの対処も可能です
。便秘は継続的に見られますが、下剤で排便コントロールができます。眠気は使用し始め
や増量時に現れますが、1週間ほどで消失するので心配いりません。医療用麻薬によって
がん性疼痛を和らげることができるというメリットは、副作用によるデメリットを上回っ
ていることがわかります。

がん性疼痛の治療の実情と、医療用麻薬に関する正しい認識をお伝えしました。
がん性疼痛の前向きな治療に取り組む参考になれば幸いです。

(監修;薬剤師深井)

看護師・保健師
嶋津 佑亮
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