さて、今回は前回に引き続いて下剤のお話をしたいと思います。
ナルデメジン、酸化マグネシウム以外にはどんな下剤があるのでしょうか。

■慢性便秘症のガイドラインでも勧められた上皮変容薬
さらに上皮変容薬といわれる「ルビプロストン」「リナクロチド」というものもあり
ます。これらは腸管内への水分の分泌を促し、便に潤いを与えるものです。「リナク
ロチド」にはさらにお腹が動く時のいやな痛みを抑える効果もあります。これらは比
較的新しい薬ではありますが、長期の服用によるデメリットなども少ないと言われて
おり、調節もできるため使いやすいお薬です。水分分泌を促すという仕組みから、酸
化マグネシウムとの相性ももしかしたら良いかもしれない、と言われています。

■胆汁の再吸収を抑える「エロビキシバット」
これも新しいお薬です。便をよりスムーズに出すためには水分が大切だといわれてい
ますが、この薬は胆汁をコントロールすることで便に水分を与えてくれるお薬です。
胆汁とは肝臓から分泌される消化液ですが、この胆汁は小腸で吸収され、血液を通じ
て肝臓へ戻っていきます。これを腸肝循環といいます。この小腸での吸収を抑えるこ
とで、1日1L弱分泌されるたっぷりの胆汁水分をそのまま便に加え、その容量アップ
によって腸を刺激してより自然に動かし、排便しようというのがこの薬の狙いになり
ます。一部の薬剤とは飲み合わせの面で相性が悪いものがあるものの、期待されてい
る薬剤だといえるでしょう。

■腸を直接動かして排便をうながす刺激性下剤
一方、「センナ」や「センノシド」「ピコスルファートナトリウム」「ダイオウ」な
どの下剤は腸そのものを刺激し、蠕動運動を促すことで便を無理やり排泄するお薬で
す。効果は非常によいのですが、耐性・依存の問題があり、連用するとなかなか効き
にくくなり、量が増えたり、これがないときちんと排便ができないなどという問題が
起こることもあります。基本的には頓用で、どうしても出ないときにだけ頼る使い方
のほうが好ましいお薬でしょう。

■「つまり」を予防する漢方薬「大建中湯」
さらに漢方である「大建中湯」もよく使われます。これは薬剤性の便秘というより、
腹部手術後の腸管の調子改善という意味合いが強いでしょう。抗炎症作用と腸管への
血流増加作用があり、術後に弱って動きが乏しく、詰まって腸閉塞になりやすくなっ
てしまった腸の調子を整える力があります。しょうがと山椒が入っており、苦手な人
もいますが割とスッキリした、漢方にしては飲みやすいお薬かもしれません。
さて、いろいろなお薬が登場しました。慢性便秘症のガイドラインでは「上皮変容薬

・酸化マグネシウム系のお薬を強く推奨、刺激性下剤、漢方は一歩引いた立ち位置。
エロビキシバットは発売前だったので記載なし」というかたちでした。

推奨度に違いがあったり、いろいろとややこしいですが、一番重要なのは患者さんが
日々すっきりと快便であることです。正しいやり方ばかりに囚われず柔軟に調節して
スムーズなお通じが実現できると良いですね。ナルデメジンだけは自己調節しないよ
う、気をつけください。

薬剤師
深井

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