がん医療の世界では、予防という言葉は大きく3つの意味を持ちます。
「一次予防:がんにならないように予防すること。
二次予防:がんを早く見つけること。
三次予防:がんが再発しないようにすること」です。
がんの二次・三次予防の主体は医療機関です。二次予防に関していうと大学や民間
企業が連携して新しいがんマーカーや線虫を使った新しい検査などの開発が盛んに
おこなわれています。既存の方法でも、胃がん検診で毎年内視鏡を行ったり、肺が
ん検診で毎年胸部のCT検査を行ったりすることの有用性が報告されています。
これらの検診は、現在任意型の検診で行うことが可能です。内視鏡や胸部CT検査で
、より小さい〝超早期"と呼ばれるがんを見つけることができますが、ここで考える
ことは、自分にとって超早期のがんを見つけることは本当に意義があるかどうかと
いうことです。
内視鏡はつらい検査ですし、おかしな話ですが、これらのがん検診でがんを見つけ
すぎてしまうという問題点もあります。特にお年寄りでは、寿命に影響しないがん
まで見つけてしまう〝過剰診断"につながる可能性があります。超早期胃がんは内視
鏡のみでの治療が可能になるケースもありますが、それが生存率や予後を伸ばすか
に関してはまだ議論の余地があります。また、自分の健康管理にそこまでお金をか
けられない人たちがたくさんいる現状も目の当たりにします。最大限の検診を受け
ることに対して、全く否定はしませんが、まずはなにより、最低限の検診でもいい
ので、毎年行う習慣をつけることが大切だと感じます。
話は変わって、最近民間企業で特に盛り上がっているのが、一次予防です。あなた
のからだの健康のために、必要な栄養素を解析して、それを補うといった医療ベン
チャーが欧米を始め、各国で設立されています。とても興味深い分野ですが、非常
に難しいのは、これらの取り組みが本当に成果があるかを知るのは、あなたが歳を
とって、病気になったか、ならなかったかを見なければわからないということです
。本当に効果がある可能性もありますが、過度に健康に対する不安をあおって健康
不安を商売のタネにする人たちがいることも事実です。
少なくとも現段階で確かなのは、禁煙や節酒、適度な運動習慣ががんのリスクを減
らすということです。がんの予防の分野もまだまだわからないことが多いのです。
バランス良く自分に必要な検査を行う教養が求められています。

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内科医
村本

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