婦人科検診などで検査する「子宮頸がん」は、ウイルスが原因だという話を耳にされたことはあるでしょうか?もし、ウイルスによる感染であれば、インフルエンザのようにうつることもあるの!?と心配される人もいるかもしれません。子宮頸がんの原因となるウイルスは、飛沫感染や空気感染はしませんが、ある感染経路で感染する可能性があります。ここでは、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスについてお話ししたいと思います。

■子宮頸がんはウイルスが原因?

子宮頸がんは、子宮の下部に当たる子宮頸部という部分に生じるがんを指します。子宮頸がんは、20〜30歳代の女性に多く見られ、毎年約1万人が発症し、約3000人が亡くなられています(日本産科婦人科学会 子宮頸がんより)。

子宮頸がんはそのほとんどが、ヒトパピローマウイルスというウイルスによる感染が原因であることがわかっています。ヒトパピローマウイルスには、100種類以上の型がありますが、その全てが子宮頸がんの原因となるわけではありません。高リスクな型が15種類ほどあり、その中でも特に16型と呼ばれるヒトパピローマウイルスは、全世界の子宮頸がんの約50%から検出されています(国立感染症研究所 ヒトパピローマウイルス感染症より)。

■ヒトパピローマウイルスの感染経路は?
ヒトパピローマウイルスは、性行為によって感染します。感染者の精液や膣分泌液などを介して、生殖器の微小な傷からヒトパピローマウイルスが侵入します。感染しても約90%の人は、知らない間に感染して知らない間に免疫の働きでウイルスが消えます。しかし、残りの10%の人は感染が持続し、少しずつ正常な細胞を変性されていきます。ウイルス感染後にすぐがん化するわけではなく、数年以上かけて細胞を変性させていき、がん化させることがわかっています。ただ、16型と18型のヒトパピローマウイルスは、がん化への進行が早いことが多いため注意が必要になります。

■がん化するだけじゃない
ヒトパピローマウイルスは、がん化する可能性のある型だけではなく、外陰部(男性の場合は陰茎)などにイボを生じる型もあります。尖圭コンジローマと呼ばれる良性のイボですが、完治するのが難しく、妊娠中での感染の場合は赤ちゃんへの感染の危険があります。赤ちゃんに感染した場合、赤ちゃんののどに乳頭腫というイボが繰り返しできて、呼吸困難を起こす可能性があります。また、イボが産道をふさぎ、帝王切開になる場合もあります。

■予防法はないの?
インフルエンザや麻疹、風疹などのウイルス感染症は、予防接種によって予防が可能です。ヒトパピローマウイルスもウイルスによる感染症ですが、以前は予防接種はありませんでした。それが2009年に子宮頸がん予防ワクチンが承認されました。

感染後の予防接種では効果がないため、性交渉を経験する前の10代前半に接種することが推奨され、2013年に中学1年生から高校1年生までを対象に定期接種となりました。このワクチンを接種することで、子宮頸がんの60~70%を予防できると考えられています(日本産科婦人科学会 子宮頸がんより)。また、効果は20年続くと予想されています。

■まとめ
子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスは、性行為によって感染するウイルスです。性行為の経験のある女性の過半数は、一生に一度は感染の機会があると言われており、決してひとごとではありません。性交渉を経験する前であれば、予防接種を受けることで予防が可能な場合もありますが、ヒトパピローマウイルスの全ての型を予防できるわけではありません。予防接種を受けた場合でも、必ず子宮頸がん検診は1年に1回は受けることをおすすめします。

参照リンク:
日本産科婦人科学会 子宮頸がん
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=10
KNOW★VPD!ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸がんなど)
http://www.know-vpd.jp/vpdlist/hpv.htm
国立感染症研究所 ヒトパピローマウイルス感染症
https://www.niid.go.jp/niid/images/lab-manual/hpv_2011.pdf
子宮頸がんワクチン接種後の神経障害に関す る治療法の確立と情報提供についての研究
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000116634.pdf

看護師
広田 沙織
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