最近はSNSなどで芸能人が、がんにり患したことを発表することが増えてきました。つい先日、タレントの堀ちえみさんが「口腔がん」にり患したことを公表し、2月22日に舌がんの手術を受け、その後新たに食道がんが見つかったことをブログで公表しています。今回は転移のないステージ I の早期発見だったため、がんのできた粘膜を取り除く「内視鏡治療」を受けたそうですが、舌がんの転移でも再発でもない個別で食道に発がんした重複がん(または多重がん)だと言われています。口からのど、食道にかけて、扁平上皮(へんぺいじょうひ)という同じ組織に連続して覆われているため、口腔がん患者の3~4割は食道がんを併発するそうですので堀ちえみさんも口腔がんの発症時に検査をされていたのが功を奏し、早期発見できたのではないでしょうか。

■口腔がんとはどんながん?

では「口腔がん」とはいったいどのような病気なのでしょうか?
がんはからだのいろいろなところで発症しますが、舌がんを含む「口腔・咽頭がん」のり患者数は2万3000人で、全がん(101万3600人)の約2.3%(国立がん研究センター2018年のがん統計予測)にすぎないそうです。

「口腔がん」とは、口の中(口腔)にできるがんのことで、その約50~60%は舌にでき、頬粘膜、歯肉、口底、口蓋などにも発症します。堀ちえみさんは、舌にがんができた口腔がん(左舌扁平上皮がん)との診断でした。この「左舌扁平上皮がん」は、進行は早いが抗がん剤や放射線治療の効果が出やすいと言われています。

今回、堀ちえみさんが受けた手術はリンパ節への転移もあったため、頸部(首)のリンパ節を切除した上で、舌全体の6割を切除し、太腿の組織を移植して舌の「再建手術」したと公表しています。公表した段階で、ステージ4の舌がんということで、5年生存率は45%だと言われていますが、手術後の経過などでステージが下がり、生存率が高まることもあるそうです。

全がん協加盟施設の生依存率共同調査の舌がんの5年生存率を調べたデータによると、Ⅰ期で94.5%、Ⅱ期で78.7%、Ⅲ期で58.8%、Ⅳ期で45.1% となっています。ステージⅠ期、ステージⅡ期では比較的5年生存率は高くなっていますが、ステージⅣ期では50%を下回ってしまいます。


全国がん(成人病)センター協議会の生存率共同調査(2018年11月集計)による※対象データは、診断年:2005年~2009年の最新5年間とした

■舌がんの治療法は?

舌がんは他のがんと同様に手術治療、抗がん剤治療、放射線治療が三大治療とされていますが、この中では放射線治療が最も費用がかからないと言われています。放射線治療は1回に要する時間は短く(1時間以内)外来受診ができる治療方法です。費用は一般的な定位放射線照射であれば20~30回の照射で平均すると60万円くらいが目安となります。これに健康保険が適用になる場合は3割負担で約20万円、さらに高額療養費制度を適用すれば8万円程度の自己負担で治療も可能になります。

しかし、全ての放射線治療に保険が適用されるわけではありません。例えば強度変調放射線治療(IMRT)は2008年から前立腺がん、頭頸部がん、脳腫塲には保険が適用になりましたが、その他は全額自己負担となります。また、重粒子線治療や陽子線治療などは先進医療として認められていても、これらの治療を受ける費用は200~300万円程度かかります。
こうした治療費負担を軽減させるためには個人で加入するがん保険や先進医療をカバーする先進医療特約が付いた医療保険を活用する方法もあります。

がんで放射線治療を受ける場合、他の疾病の治療と同様に自由診療と保険診療の2つの選択肢があります。自由診療は健康保険が適用されず治療費は全額負担になるため、一般的な病気の場合では費用がかからない保険診療を選択する人が多いですが、根治治療を目指すことが前提となるがんの治療の場合、費用は掛かりますが、検査や治療法の制限が無い自由診療のほうを選択する人が増えてきています。

自由診療に有効活用できるがん保険ですが、定額給付型と実額保障型の2種類があります。
実額保障型であれば治療費がいくらかかってもほぼすべてが保障されますが、定額給付型だと治療費は全額保障されるわけではありません。一般的ながん保険というと定額給付型の内容が多くみられます。がん保険に加入していても実際にがんを発症した時に役立つ給付金が受け取れないことがないように契約内容をよく確認しておかれることをおすすめします

また、治療費負担を軽減させる制度としては医療費控除があります。これは1年間で支払った医療費が10万円以上になった場合に所得税の控除が受けられるものです。対象は保険診療だけでなく自由診療まで範囲に含まれますので、常に治療費がどのくらいかかったかを把握しておくことが重要となります。

現在の日本では、国民の2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなると言われ国民病の1つとなっています。このように、がんは怖い病気ですが、生活習慣・生活環境の見直しにより予防できることが、多くの研究成果からわかってきていますのでまずは生活習慣を見直してみることが必要でしょう。

参考文献

日本口腔外科学会
https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_akusei/
厚生労働省eヘルスネット情報提供
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-01-001.html
日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 96 (1993) No. 9 P 1501-1509,1579
日本赤十字社 伊勢赤十字病院 各種がんの解説 舌がん
http://www.ise.jrc.or.jp/cancer/ca06-10.html
国立がん研究センター がん情報センター 舌がん 受診から診断、治療、経過観察への流れ
http://ganjoho.jp/data/public/qa_links/brochure/odjrh3000000ul06-att/114.pdf

FP(ファイナンシャル・プランナー)
土屋 福美子

株式会社 WISHLANE 取締役【資格】ファイナンシャルプランナー相続診断士住宅ローンアドバイザーお金だけでは解決できない想いを叶え、生きた証を後世へ橋渡しするためのライフシフトナビゲーター。 5000人超の保険コンサルティング実務経験から「お金、心、身体」のトータルサポートが必然だと実感しています。100年人生を生き抜く時代。 人生の終焉に自分の願う最後の言葉が残せるように笑顔と実現力を引き出すためのあなたの一生涯サポーターとして活動しています。

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