■つらい気持ちを楽にする「人生ノート」に書くこと

医療の進歩により、がんの生存率は延伸していますが、多くの人の「がん」のイメージは「が
ん=短い命」のようです。しかし、2019年国立がん研究センターの研究班が公表した結果で
は、がん患者全体の5年後の相対生存率は、69.4%となっており、年々徐々に延伸しています
。個別にみるとステージ1の「大腸がん」「乳がん」「胃がん」「子宮がん」の5年相対生存率は
90%を超えています。

平均寿命が50歳を超えるようになったのは、第二次大戦後です。昔は戦争、災害、流行病な
ど、長く生きていくのが難しい環境でした。どんな時代に生まれ、どんなことが明日起こるのか
は、文明や科学が発展した今でも誰にも分かりません。末期のがんと宣告された人でも回復
して10年以上元気でいるという人も実際にいます。未来は自分が思っているようにはならない
ことが多いのです。


※画像提供:Karolina GrabowskaによるPixabayからの画像

「がんを告知されてネガティブなことばかり考えてしまいます」
というお話しはよく聞きます。
ネガティブな感情から抜け出せない代表的なものの一つは、過去の嫌な感情や記憶にとらわ
れている時。もう一つは、先の未来を想像して「こうなったら・・・」と不安な感情にとらわれてい
る時です。がんという病気になったことで、「もしも薬が効かなかったら・・・」「もしも再発したら・・・」と不安になったり、落ち込んだりしてネガティブになってしまうのは、ごく当たり前のことで自然なことです。
ネガティブな感情に向かうと、次から次へとネガティブなことばかり考えてしまい苦しくなります
。必ずそのような未来がくるかどうかは分からないのに、止められなくなったりします。
感情のエネルギーは思考よりも強いのです。感情の流れをSTOPして気持ちを切り替えること
ができる方法はあるのでしょうか。

■なかなか前を向けない時、ネガティブなことが浮かぶ時、気持ちの切り替えの方法

気持ちの切り替えのポイントは、「意識の向き先を変える」ことです。
意識は同時に複数のことを考えることができないので、別の小さなことを考えて意識を変える
と切り替えがしやすくなります。硬貨を裏返しにするように気持ちを切り替えることはできない
ので、ひとつずつステップ踏んで試してみてみましょう。

気持ちを切り替えるステップ

1.自分の気持ちを受け止める
「わたしは、ネガティブになってるのね」とただ受け止めてあげるだけでOK

2.意識をありのままに見てみるSTOPする 
ネガティブに思っていることを、とにかく書き出してみる。ポイントは、口には出さずに書き出し
ます。口にすると、脳は自分を否定しているととらえてしまいます。
書き出してみる時に、主語を私ではなく〇〇さんに変えて書いてみてください。例えば「わたし
は〇〇が不安で・・・」ではなく、自分の名前で「明美さん(仮名)は、〇〇が不安で・・・」というように自分の分身が書いてくれているイメージです。そうすることで、物事を俯瞰(ふかん)して
見るようになり客観的に整理ができます。

3.未来を今に変えてみる
どうなるか分からない先の未来の不安は、このように変換してみてください。
未来の不安「もしかしたら手術がうまくいかないかも」は、「必ずそうなるとは限らないことをい
くら考えても分からないから今は考えないようにしよう」「今やれることはあるかな」という風に「
今」に置き換えてみてください。

4.今できることに集中する。
好きなことを考える。好きな音楽を聴く。趣味をやる。昔の思い出を書き出して人生ノートを書
いてみる。

5.体内時計を整える

・眠る30分前には、TV・パソコン・スマートフォン・携帯は見ない
・朝の光を浴びる

最初は簡単ではありませんが、小さな経験を少しずつ積んでいくと、自分の感情をコントロー
ルできるようになります。落ち込んだりネガティブになったりするのは悪いことではなく自然な
ことです。誰でも経験を積めば積むほど切り替えがうまくなっていきます。
焦らないで、少しずつゆっくりとやってみてください。

■わたしの人生ノートに「わたしの思い出」を書いてみましょう。

今できることに集中することで、気持ちの切り替えがしやすくなります。今回は、「昔の思い出
や楽しかったこと」を思い出して書き出してみましょう。

子供の頃の運動会や修学旅行、恋人との出会いやプレゼント、家族との旅行のこと、家族や
友達に言われてうれしかったこと、笑ってしまうかわいい失敗や出来事、子供の発表会や表
彰式など、あなたの記憶に残っている楽しかったことはどんなことですか?なかなか思い出せ
ない時は、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、社会人、結婚、出産誕生、子育て、子供の
巣立ち・・・など時系列にひとつずつ思い出してみてください。

人生ノートに書いておくこと
・わたしの大切なもの(思い出、写真、宝物、財産、家族、友人・・・)
・わたしのこと(生い立ち、家系、仕事歴、好み、趣味・・・)
・わたしの思い(日記、メッセージ、手紙・・・)
・わたしのお願い(自分で判断できなくなった時、病気の時、亡くなった時)

自分のために書いた人生ノートは、「わたしの大切なことと大切にしている思い」がまるごと詰
まっているので、もしも誰かにお世話になる時に、自分のためだけではなくお世話をしてくれる
人が理解しやすく何をしてあげたらいいか客観的に分かるので、助かるツールとなります。ス

マートフォンから簡単に書けて保存できるWeb版ライフノートのエルノート®が便利です。思い
出の写真も一緒に保存できます。また、うまくまとめられたら、自分史として出版するのもよい
でしょう。

終活アドバイザー
茂木 康子

一般社団法人 包括安心サポート研究所 代表理事
株式会社 WishLane 代表取締役
                         
【資格】
終活アドバイザー
CFP®(ファイナンシャルプランナー)
相続診断士®
トータルライフコンサルタント
保健体育教員1種免許

家族に恵まれなかった幼少時代の不安と孤独を突破し、今は3世代同居の幸せ家族。
FPの顧問顧客で、独りで誰にも看取られず亡くなる人を何人か見送った。そして幼少の頃の孤独と重なり「独りの不安を安心に替えてあげたい。私はその為に生まれてきた」と思った。
大学卒業後、証券会社・大手生命保険会社・外資系生命保険会社の営業職で新人賞を受賞。消費者側のFPとして独立。のべ5000人の保険コンサルティングの実務経験。長年の経験から、保険の「もしもの資金準備」だけでは、安心して生きていけないと思いシニアサポート事業を開始。
生涯にわたり「お金」「こころ」「体」のトータルサポートを行い、病気や介護になった時は家族代行の業務を行なっている。

著書 「本当に正しい医療が終活を変える」

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