■自分の病気・治療の情報は携帯しましょう

がんの治療が始まった患者さん、現在継続中の患者さん、お薬手帳やかかりつけ病院の連絡先を携帯していますか?また、いざという時に、自分の病気のことを他の医療機関に伝えることはできますか?

近年、予想もしていなかった自然災害が次々と起こっています。震度5以上の地震、水害などの発生、また異常気象で予定通りに仕事や旅行スケジュールが進まず、受診の予約時間に間に間に合わなかった経験者もいらっしゃるのではないでしょうか?

2011年の東日本大震災では、数え切れないほど多くの人々が罹災されました。2019年3月現在、死者15,897名、行方不明者2,533名(朝日デジタル調査)となっております。8年以上経過しましたが、これは忘れてはならない記憶です。 その後も、地震や水害などで、日本各地で自然災害が発生し、多くの人々が緊急事態を目の当たりにしていました。
家屋の倒壊や立入禁止区域などで、住み慣れた土地から避難し、他県の受け入れ先の病院で治療を再開された患者さんも多数いらっしゃいます。

2012年に被災地で活動していた医療スタッフの講演会、被災地から避難されてきた患者さんとその家族とお会いする機会がありました。言葉では表現しきれない、計り知れない心境だったと察し、私は言葉に詰まり、何とも無力な気持ちになった記憶があります。被災者のがんサバイバーの人々は、「いつになったら治療を再開してくれるのか?」という不安と余震・停電・避難場所における高ストレス状態で、治療の再開を待っておられました。

がん医療に関連する学会において、被災者の治療の受け入れ可能な施設が発表され、順次治療を受けに患者さんが向かったと耳に入りました。現在、国立がん研究センターのホームページには、「被災者の方向けの国立がん研究センターの主な取り組み」が掲載されています。

また、日本肺癌学会のホームページには、「自然災害発生後のがん対処法~がん患者さんと介護者のためのQ&A(米国がん協会のご厚意で日本語に翻訳されている)」が掲載されています。最前線の被災地からのSOSに対し、現場が動き、現在も災害医療・災害看護の視点から、がん薬物療法を受けている患者さんが被災した時を想定に、各地で避難訓練が行われています。病状に関する情報・お薬手帳・かかりつけ病院・主治医への連絡先は常に携帯し、いざという時に備えておくと良いでしょう。

しばらくたってからになりますが、受け入れ先だった病院の医師・看護師にお話を聞く機会がありました。幸いなことに、ある患者さんは治療に関する走り書きの治療に関するメモの情報が、受け入れ先の腫瘍内科医の目に留まり、治療継続に繋ぐことが出来たそうです。中には記憶のみの患者さん、治療日誌の患者さん、、スマホのスケジュールのダイアリー機能の患者さん、と個人によって、それぞれの対処方法(方策)で、治療や体調に関するデータを持っておられました。

本日の終りになりますが、未曾有の自然災害や、旅先や出先で予期せぬ事態が起きてしまった等、もしもの時に備えて、治療に関する情報を携帯するようにお勧めしています。もちろん、私個人の意見としては、未曾有の事態が起きないよう願ってやみません。また、自然災害で命を落とされた方々のご冥福とお祈りをするとともに、行方不明者の早期発見を願っております。

そして、現在がんと闘っている患者さん・ご家族・サポートする皆さんに向けて、「自分らしい生活を送れるように」サポート体制の地域格差の解消が進むよう、心から祈っております。

引用・参考文献

1)がん看護、第24巻、第3号(通巻149号)、2019、南江堂
2)朝日新聞デジタル http:www.asahi.com 、2019年6月1日閲覧
3)日本肺癌学会ホームページ http:www.haigan.gr.jp 、自然災害後のがん対処法~がん患者さんと介護者のためのQ&A 、2019年6月1日閲覧
4)2018年オンコロBOOKシリーズ「肺がんの薬物療法を受ける患者さんのための本」、光冨徹哉・長谷川一男 監修、ノバルティスファーマ、2018

がん化学療法看護認定看護師
かみうせ まゆ
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