前回からの続き
前回に続いてピアサポートの概念の始まりについてのお話です。「自立」とは単に
「人の助けからの離脱」を意味するのではなく、「人の助けを活用して、より自分
らしくある能力」も積極的に含む概念であるべきだ、というエド・ロバーツの主張
は後の医療、福祉、介護のあり方にパラダイムシフト(大きな考えかたの転換)を
起こすことになります。そしてそのひとつが、この分野におけるピアサポートだと
されます。

これはすなわち、次のような主張です。
「障がい者どうし(=仲間=ピア)が助け合い、癒し合い、成長し合うことによっ
て、結果的には個々の物理的、社会的、心理的自立が達成される。障がい者は『弱
きもの、助けられるべきもの』ではなく、積極的に『癒すもの、助けるもの、成長
するもの』であることによって、生命本来の輝きを取り戻せるのだ」

それまで、障がい者は障がいがあることによって、できることが限られる「不完全
」な存在と考えられてきました。しかし逆説的ですが、障がいを持った人すべてが
共通して持つ大きな能力もあるのです。それこそが、まさに同じように障がいを持
つ人(=ピア)の立場や気持ちをリアルに感じられる(=共感できる)ということ
であり、この部分に関しては、健常者は逆立ちしても勝てない部分です。

こうした障がい者の持つピアへの共感力を最大に生かし、同じような立場にある人
を相互に援助しあうことで、個々としてさらには全体としての自立を獲得しようと
いう、今までの障がい者の概念を覆すような野心的概念がこの「ピアサポート」な
のです。

つづく

医師 総合診療医/心療内科医/漢方医/産業医
飯島 慶郎(いいじま よしろう)

臨床心理士/産業カウンセラー/認定産業医
総合内科専門医/家庭医療専門医/東洋医学会認定医

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