みなさんは口内炎になったことがあるでしょうか。小さな口内炎でも食事のたびにズキッと染みて痛い思いをします。元々お食事が好きな人でも口にものを運ぶたびにズキズキするので集中して楽しめないということもよくあります。わたしも非常に食べることが好きなのでそのつらさは非常によくわかります。

■ 甘く見てはいけない口内炎
 がん治療を行っているなか、口内炎に注意を…と言われても「そんなことを?」という表情をされる人は珍しくありません。イメージとしてうける深刻度に差がありすぎてある意味当然の反応かもしれませんが、口内炎を侮ってはいけません。抗がん剤による口内炎は抗がん剤そのものによる直接的な粘膜の破壊と、以前お話した骨髄抑制による免疫機能の低下による感染によって起きます。口内の粘膜バリアが破壊され出血するため、そこから細菌が入り込み、弱ったからだに全身性の感染症を起こすこともありえます。
 そして痛みのために食事が出来ないということも厄介です。副作用で落ちた食欲が回復してきたころに口内炎ができやすい時期がくるため、長いあいだまともな食事が摂れない状況にもなりえます。そうなると体力は戻らず、次コースの抗がん剤でのダメージもより大きくなるおそれがあるでしょう。ひどくすれば治療を延期せざるを得ないこともあります。

■頻回なうがいが何よりも大切
 口内炎は5-FUやエトポシド、インライタなどの抗がん剤投与後2〜10日で起きはじめ、2〜3週間で回復していきます。治療法によってはクライオセラピーといわれる、抗がん剤投与中に氷を口に含むという方法もありますが、最も大切な予防法として口の中の清潔維持、つまりうがい・歯磨きが推奨されています。ですが、口の中は一度うがいをしたところで2,3時間もすればもとの細菌数にまで戻ってしまうと言われていますので、1,2時間ごとにうがいをするくらい頻繁な処置が重要になります。この際、水道水でもよいのですが、薬を使用するならドラッグストアなどにもあるアズレンスルホン酸ナトリウムという炎症を鎮め傷の治癒を助ける成分が入ったものがおすすめです。また、水道水ではしみるような人には生理食塩水でのうがいがおすすめです。1Lのペットボトルに9gの食塩を加えれば簡単に出来ます。だいたいペットボトルのキャップにすりきり一杯の食塩が9gほどなので目安になるでしょう。うがい薬といえばイソジンなどに含まれるポピドンヨードや歯磨き後の殺菌用のものが一般的によく利用されていますが、これらはおすすめできません。ポピドンヨードは殺菌はしてくれるのですが、粘膜の傷を助長するおそれがあります。また殺菌用うがい液は爽快感のためにアルコールが添加してあることがあり、これも傷には良くありません。
 口内炎はとくにご自身の生活のなかでの予防が重症度を分けることが多い副作用です。ぜひ全員にきちんとした対処を知ってほしいところですね。

—————————————————————-
国内唯一の手術・抗がん剤・放射線といった
標準治療だけでなく先進医療など
あらゆる治療法を含んだ「がん相談」が
がんに詳しい医師・医療従事者、専門家に
24時間365日できるがん相談センター
—————————————————————-
がん無料相談センター東日本
0120-609-332
がん無料相談センター西日本
0120-709-332
—————————————————————-
〒104-0061
東京都中央区 1-16-7 銀座大栄ビル5階
がん相談センター

薬剤師
深井

この執筆者の記事一覧

様々な副作用の対処法

がん治療の選び方

がん治療薬について

薬剤師の頭のなか

医療者コラム

相談する

  1. 30代女性 より:

    現在、抗がん剤を継続しており、、口内炎が悩みです。。。。
    こまめに、うがい、頑張ってみます
    主治医にもお話しているのですが、、、なかなか、、そんな中で、深井先生のコラムに深く共感し、
    励まされています。
    毎回、楽しみに拝読させていただいております。お忙しいと思いますが、たのしみにしております。

  2. 深井 より:

    30代女性さま

    コメントいただきありがとうございます。
    このように読んでいただいた方からのご意見は非常に励みになりますね。
    さて、抗がん剤治療をされているとのことで、まだお若いのに大変な葛藤、御苦労があったことと思います。
    まずはここまで、お疲れ様でしたと言わせてください。
    勝手に推察させていただくに、もしかして乳がんのFEC療法あたりをされている方かなぁと感じました。(違っていたらすみません)
    もしその場合、残念ながら記事にもあるクライオセラピーについてはそこまで大きな期待は出来ません。試してみる事自体は悪くないと思いますが…。(点滴治療中に氷を口に入れ溶かしながら口腔内を冷やす、というだけなので)
    重ね重ねになりますがやはりうがいが一番重要かと思います。
    アズレンスルホン酸なら市販もされていますし、手軽です。一応、注意点としてうがい液を薄くしすぎてしまう方がいらっしゃるので、説明書きをよく読んで適切な濃さの薬液でうがいをしてあげてください。
    あとは飲み物を飲むときにはストローなんかを使うのも、口腔内を刺激しにくくなっていいかもしれませんね。
    それでも痛いときはカロナールやロキソニンなどの解熱鎮痛薬の使用もよいかと思います。(ほとんど問題はないのですが、臓器機能のこともありますので一応主治医には一言言うだけ言っておいたほうが無難かとは思います)

    医療者のなかにも治療の方に気持ちが寄りすぎて副作用等のケアが後回しになってしまう人も残念ながらいらっしゃいます。
    その点については我々も大いに反省・改善が必要なところかと思いますが、主治医の先生があまりピンときた反応がない場合、薬剤師・看護師等にもぜひ症状を訴えてみてください。
    大変お手数ではありますが、よりよい治療を続けてよい結果が得られるよう、お祈り申し上げます。

  3. 30代女性 より:

    深井先生!!お返事ありがとうございます。
    うれしくて涙がこぼれました。 はい、、乳がんです。。

    深井先生のアドバイス頂いた通り、頑張ってみます!
    お忙しいとおもいますが、今日もお仕事頑張ってください!

    追伸
    これから食事ですが、がんばって、食べてみます!
    本当に本当にありがとうございます。

コメントを残す

PAGE TOP