前回からの続き
抗がん剤治療を始めてから三週間が過ぎた頃、Aさんは脱毛の他に気になるからだの変化を
だんだんと感じるようになりました。それは手足の先が冷たくなり、冷えたままにするとしびれ
たようにピリピリすることでした。がんという病気を抱えていても、Aさんはできるだけ実家の両
親の手を煩わせることなく、家事、育児に力を尽くしたいと強く思っていました。特に育ち盛り
の子供達がいるため、食事は自分で作りたいと取り組んでいました。

しかし、手足のしびれを感じるようになり、包丁を握りにくくなってきたことが気になっていまし
た。また、お箸をつかったり、裁縫などの手先を使ったりする細かな作業も難しいと感じ、手に
力が入らないようにもなりました。この手足のしびれ、ピリピリ感は強くあらわれる日もあれば
、比較的おさまっている日もありました。Aさんは主治医から聞いていた通り、普段から手足を
冷やさないように気をつけるようにしました。

いつでも足を温めるられるように、足浴をするためバケツも用意しました。特に就寝中に足が
しびれて目が覚めてしまうことが多かったため、よく眠前に足浴をしました。入浴だけでは足
がすぐに冷たくなってしまうため、眠る前にバケツに40度くらいのお湯を入れ、足をゆっくり温
めるようにしました。足は眠る前には驚くくらい、感覚がなくなっていることに気が付きました。
保健師からは、感覚が鈍くなっているためやけどに気をつけるように言われていました。たし
かに、足の感覚が鈍りとても熱いお湯でもなかなか心地よく感じなかったのです。そのためA
さんはお湯を熱くしすぎないように気をつけて、足し湯をしながらゆっくりと足を温めるようにし
ました。

指先も同様に、在宅中でも薄手の手袋をするようにしました。素材は絹や綿などで
、1,000〜2,000円程度で購入しました。最初はその都度手袋をしたり外したり煩わしく感じてい
ましたが、指先が冷えきるまえに対処すると、ピリピリ感が減ることがわかりました。

Aさんは、「治療が終われば副作用は治るのだから、無理はせずに向き合っていこう」という夫
の言葉で、料理などの支度も夫に変わってもらったり、お惣菜を買ってきたり、少しずつやり
方を意識して変えました。Aさんはもともと責任感が強く、主婦として家事は自分の役割である
と考えていました。しかし、小学生高学年になる長子が積極的に家事や下の兄弟の世話を手
伝ってくれたり、夫が朝食の支度をするようになったり家族がAさんを支えました。Aさんは副
作用とうまく付き合いながら日常を過ごし治療を継続していくためには、がんばりすぎてはい
けないと思うようになりました。

つづく

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保健師/看護師
石毛 陽子

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