前回は下痢についてお話しましたが、一方で便秘がちになってしまう人もいらっしゃいます。
抗がん剤による症状としてはどちらかといえば下痢のほうがよく見られますが、抗がん剤とあ
わせて使用する吐き気止め、痛み止めに用いる麻薬性鎮痛薬・非麻薬性鎮痛薬など、がん
患者さんは便秘の原因となりやすい薬を使う機会が多くあります。さらに食事が進まないこと
により水分摂取量の減少、横になる時間が長くなることによって腸の動きが鈍くなるなど、薬
以外にも多くの要因が重なることが多いといえます。

■下剤は自己調節が命
便秘の対策はおおむね生活の注意と下剤によって行われます。なるべく水を多めに飲む、適
度に歩いて腸の蠕動(ぜんどう)を促す、食物繊維を適度に摂取し、取りすぎない…などと、
がんだからといって一般的な便秘対策と多くは変わりありません。ただ、消化器のがんの場
合はがんそのものの影響によって腸が詰まってしまったり、あるいはがん性腹膜炎といわれ
るお腹の内側にある膜に炎症が起きてしまう状態になると、それによってお腹の動きが鈍っ
たりすることもあるため、通常の対策では対応しきれないこともあるでしょう。そういった要因
がなく、頑固な便秘が起きた際は下剤で便の調整を行っていくことになりますが、日々便の状
態は変わるものなので画一的な対応では難しいことも多いのが現実です。

■ 便と水分のつなぎをしてくれる塩類下剤
最もよく使用される下剤として塩類下剤があります。酸化マグネシウムが代表格ですが、この
タイプの下剤は腸を動かすわけではなく腸の中の水分を便に混ぜ込んでくれるつなぎの役割
をします。なので、下剤といってもお腹がギュルギュルと動いたりせず腸にも優しい薬だとい
えます。通常毎食後1錠ずつで処方されることが多いですが、柔らかすぎたら昼は抜いてみ
たり、硬すぎたら逆に夜だけ2錠にしてみたり、というように1錠単位の調節が必要で、場合に
よっては一日に9錠まで増えたりすることもあります。効きは3〜8時間くらいかけて現れるの
で飲んで半日くらいの便の状態を見て調整するとうまくいきやすいでしょう。

■ 腸を動かす刺激性下剤
センナやダイオウ、ピコスルファートなどの薬剤が該当します。市販薬としてコーラックなども
この仲間になります。腸を刺激し動かすことで排便を促し、8〜116時間ほどで効果を発揮し
ますが、連用により効きにくくなることもあります。必要あれば我慢せず使うべきですが、漫然
と使い続けるとかえって後々より強固な便秘に襲われることもありますので、ある程度使い所
を見極める必要があります。

■ その他の下剤
他にも腸内の水分量を増やすルビプロストンや麻薬性鎮痛薬特有の便秘にのみ効果がある
ナルデメジンなどの薬剤が使われます。これらは定期的に決められた量を飲むことが多いの
で個人で調節することが求められることはあまり多くはありません。

■ 困ったら医師・薬剤師へ
便秘のお薬も種類がいろいろとあるため、「自己調節で」と言われても個人ではそれを判断す
ることは難しいでしょう。そういった場合は身近な薬局を訪ねていただけると良いかもしれま
せん。処方箋がなくても街の薬局は薬の相談を受け付けているはずなので、自分の排便状
況と処方内容、今の治療状態等を相談していただければ、適切な対策方法を教えてもらえる
でしょう。

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薬剤師
深井

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  1. うめこ より:

    義母72歳が子宮頸がんで広汎子宮全摘をしました。
    手術後、病理の結果ではリンパ節転移がないと言われたらしいのですがとってみたら50mmだった事と転移の可能性があるので抗がん剤の治療と話しを受けたらしいです。
    それは標準治療ですか?抗がん剤をやらない選択だと余命が短くなりますか?
    もし治療した場合、抗がん剤CCRT?の主な副作用は何ですか。治療する事で余命はどれだけ長くなりますか。途中で治療が出来なくなる可能性はありますか?
    義父は、医師の話を聞かず、治療に対して反対しています。セカンドオピニオンを受けた方が良いのか悩んでいます。教えたください。

  2. 深井 より:

    うめこさん、こんにちは。
    あまり婦人科癌には強くない部分もありますが、そのうえでのコメントとご理解ください。
    内容については淡白に書き連ねますので、心の整理をつけながらお読みください。少々厳しめの内容もございます。
    まずがんに臨む場合、大切なのはStageingといわれるStage3なのか4なのか、3aなのかと分類することです。
    それによって治療法も予後も全く異なってくるからです。
    文章から想像するに広汎子宮全摘術を行うということは標準治療からすればStage1A2~2Bあたりかと思います。
    また、骨盤内リンパ節転移があるということは再発リスクが高めであると考えられます。
    これらを踏まえて放射線併用・術後化学療法(CCRT)を行うことは標準治療だと思われます。

    治療する場合は放射線照射を行いながらシスプラチンという点滴の薬を毎週1回、5,6回行うのが標準的です。
    CCRT自体はこれで終了で、あとは定期的な検査になるので時間的な負担は軽いほうかもしれません。
    副作用としてはその一ヶ月半の間、吐き気・倦怠感・貧血、リンパ浮腫などが起こりえます。
    リンパ浮腫などは治療終了後もしばらく下肢のむくみとして残り、治りにくいこともあるかもしれません。
    重いものだと腸閉塞などで入院、手術が必要な場合もありますが、これの頻度はそこまで高いわけではないでしょう。
    副作用が重い場合、薬による腎障害が進んだりした場合などは継続が困難になることもありえます。

    予後についてですが、再発率を下げるのが目的であり、CCRTをしてもしなくても再発することは残念ながらあります。
    細かいデータに関してはStage、病理学的分類にもよるので主治医に確認するのが良いでしょう。

    さて、以上を踏まえて治療するかどうかですが、正直言ってかなり難しいラインかと思います。
    というのも72歳というお年を考えた時に、人によって体力にかなり差があるからです。
    たとえば元々持病がある、あまり体力や気力が強い方でない場合はあえてCCRTをしないことも選択肢に入るでしょう。
    CCRTによる再発率の低下と、それによる副作用、体力低下などを天秤にかけるわけです。
    高齢者の場合、再発の有無に関係なくその他の要因で亡くなってしまうことが予想できそうな健康状態の場合、あえてなにもせず経過観察というのは十分にありえる選択肢です。

    まずは主治医からそれによって期待できる再発率の低下について、統計的なデータを教えてもらい、そのうえでよく相談して決めていくと良いと思います。
    セカンドオピニオンについてですが、放射線照射技術などがとても良い病院や(正常細胞への負担を軽くするIMRTという手法を取れるかどうか)、術後化学療法についての治験を実施しているような病院でなければ、基本的に同じ話をされるだけになるかな、と感じました。
    義父さまのように身内のがんを受け止めきれず、目を背けてしまうような方は実際多くいらっしゃいますが、どうかよく相談して方針を決めていただきたいと思います。
    何かあった場合、その議論に参加できなかったということが一番義父さまを苦しめてしまうかもしれません。

    大変なところかと思いますが、ご無理なさらぬよう、お話がまとまることをお祈りしております。

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