がん遺伝子治療についてご存知でしょうか。

遺伝子治療とは、正常に機能しなくなった細胞を直接治療することで遺伝子のレベルでさまざまな疾患に働きかける、最先端の医療技術です。このがん遺伝子治療はそれのみの治療も行えますが、がんの三大標準治療(外科的手術、抗がん剤治療、放射線治療)と併用することもできます。併用することで再発を防止する確率が上がるとも言われています。

たとえば、『乳がん』の標準治療法は以下の5項目があります。

(1)手術によるリンパ節を含む病巣の摘出
(2)ホルモン療法(内分泌療法、乳がんの発生と増殖に関係しているホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの受容体発現に有効とされる)
(3)抗がん剤治療
(4)分子標的薬(ゲノム、分子レベルでがん細胞の特徴を認識し、がん細胞のみに焦点を合わせて効果があるため、正常な細胞へのダメージが少ないとされる)
(5)放射線治療

(1)と(5)病巣部分だけに焦点をあてて行う局所治療となります。
(2)(3)(4)は内服あるいは点滴による全身治療となります。

がんのグレード(がん細胞の分化度、異型度のこと。乳がんの場合、ステージよりもグレードにより予後を含めた所見、治療法を決定されます)、進行度(ステージ)、発症の部位や転移の有無などを確認し、これらの治療法を組み合わせ治療を進めます。特に乳がんは均質な病気ではないとされており、さまざま特徴をもつ疾患とされています。そのため、患者さんひとりひとり治療の進め方は変わってきます。

 

たとえば、抗がん剤治療や放射線治療は術前にがん細胞を小さくする目的や全身に散らばったがんに対して治療を施す全身療法として用いられます。またホルモン療法、分子標的薬は有効ではないとされるトリプルネガティヴにも抗がん剤治療は有効とされています。

その為、患者さんにとって必要なことは正しい知識を持つことと複数ある選択肢を知ることではないでしょうか。

先に述べた5項目の標準治療は保険診療の対象とされています。保険診療の対象とされる治療法になるまでには一定数のエビデンスが必要です。その途中にある治療法には、ウィルス療法、IPS細胞を使用した医療技術、がん遺伝子治療などがあります。これらの治療法は新しい治療法として今後を嘱望されています。

また、がん遺伝子治療は自由診療となるため、医療機関や主治医の先生とより深く質のよいインフォームドコンセントが必須です。また、がん遺伝子治療を行う医療機関にセカンドオピニオンとしての役割を求めることも選択肢を増やすことにつながるかと思います。

がん遺伝子治療はまだまだ開発中の治療法です。日本人は海外と比べると受動的な医療環境と表現されることもあります。気になった症例のことなどは医療機関に相談し、正しい知識を持ち、安心して治療に臨むことのできる環境を整えていただきたいと思います。

保健師/看護師
石毛 陽子

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